本研究は皮膚への塗布により治癒効果を発揮するとされる動物由来の油脂の生物学的機能性を解明するための研究による成果から着想を経て行われた。本研究で関与が示唆されたTLR10は自然免疫応答を担うToll様受容体ファミリー分子でありながら、抗炎症作用に関与していると考えられているオーファン受容体である。本研究を通じて、油脂由来の遊離型脂肪酸がTLR10を誘導することで、慢性的な炎症状態に陥っている自然免疫応答を鎮静化し、皮膚再生への機会をもたらす可能性が示された。本研究により得られた成果は、油脂の皮膚における薬効について、新たな洞察をもたらすものであると考えている。
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