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2021 年度 実施状況報告書

反芻動物が発情特異的に発散するフェロモン・匂い分子の探索と作用解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K05911
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

若林 嘉浩  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (00510695)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードフェロモン / 発情 / 繁殖
研究実績の概要

本研究では、哺乳類は様々な場面で匂いやフェロモンなどをコミュニケーションの手段として利用している。特に発情時のメスは多くのシグナルを周囲に放出していると考えられるが、分子自体は同定されておらず、その特性や具体的な効果などは明らかにされていない。そこで本研究では、反芻家畜であるヤギおよびウシが発情特異的に発散する分子の作用により誘起される行動変化や神経活動変化を指標とした生物検定系を確立し、これを利用して分子の探索を行う。また、発情シグナルの受容部位や情報伝達経路を解明することで、反芻動物の発情時におけるコミュニケーション機構を明らかにする。
本年度は、まず発情時に特異的に発散される分子あるいは顕著に発散量の増減がみられる分子(発情シグナル分子)の活性を評価するため、ウシの近縁種であるヤギを用いて発情シグナル分子によって賦活化される部位と考えられる繁殖中枢(視床下部弓状核キスペプチン神経系)に記録電極を留置して神経活動変化を記録可能な検定系を確立した。この検定系を用いて、発情時あるいは非発情時の尿あるいは腟周辺スワブなどを提示した際の神経活動変化を解析した結果、尿中に神経活動を上昇させる成分があることなどを明らかにした。また、ウシ発情シグナル分子同定と検定系の確立のために、発情時期を同期化した黒毛和種5頭をもちいて、発情前後数日間における腟粘液等の生体サンプルの採取を行うことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の計画は、反芻動物が発情時特異的に発散する分子(発情シグナル)の同定、その分子の受容・脳内情報伝達機構をはじめとした作用機序解明、発情シグナル分子の検出手技の探索、を目的としてる。今年度は、発情シグナルの生物検定系としてヤギ繁殖中枢神経活動を記録解析するシステムを確立し、種々のサンプルを提示した際の神経活動変化を解析することができた。発情シグナル分子の同定については、黒毛和種より発情前後の腟粘液などの分析用サンプルを採取するとともに、性ホルモンの影響を受けないコントロールとして卵巣摘出ウシのサンプルを採取した。さらに、発情シグナル分子の検出手技の探索として、簡便なガス検知管を利用した方法を考案するとともに、各サンプル間の濃度測定等を行い、サンプルの処理条件等の検討を行った。これらのことから本研究課題は順調に進捗していると判断した。

今後の研究の推進方策

発情シグナルの同定については、昨年度に採取した種々のサンプルを機器分析することにより、発情時に特異的に発散されるものあるいは発情前後で含有量が顕著に変化する分子の探索を行う。サンプルが不足する場合には、随時発情前後の個体より各種サンプルを採取しつつ解析を行う予定である。発情シグナルの検出手技の探索については、引き続きガス検知管による検出法探索を進めるとともに、分析により新たに発情シグナル分子が同定された場合には、その分子の特性により検知可能な手技の検討を行っていく予定である。発情シグナルの受容・作用機序解明研究については、尿中の繁殖中枢活性分子について、受容部位、脳内情報伝達経路を、c-fosなど神経活動の指標となるタンパク質の免疫組織化学染色することにより発現量や発現細胞の分布を解析することにより明らかにしていく。

次年度使用額が生じた理由

昨年度は繁殖中枢神経活動解析に使用するシバヤギの頭数が少なかったことから、当初必要であった記録電極作成用消耗品の支出が少なかった。昨年度に新規に8頭のシバヤギを導入したことから、本年度にこれら個体を用いて神経活動解析を推進していく予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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