研究課題/領域番号 |
21K05920
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
高木 光博 山口大学, 共同獣医学部, 教授 (40271746)
|
研究分担者 |
宇野 誠一 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (50381140)
大和 修 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (80261337)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 牛 / カビ毒 / 繁殖性 / 飼料 / カビ毒防除 |
研究実績の概要 |
本申請課題の目的の1つである、尿中多種類カビ毒同時測定系の新規確立に関しては、これまでに確立しているゼアラレノン(ZEN)とステリグマトシスチン(STC)に加えて、デオキシニバレノール(DON)とフモニシンのLC/MS/MSによる測定系の確立を終え、現在市販のELISA測定キットを用いた簡便な尿中DON測定系確立の可能性を見出した。牛群におけるカビ毒浸潤動態が牛生体内代謝や繁殖性に与える影響に関する検証では、尿中ZEN濃度と牛卵巣内胞状卵胞数モニターのバイオマーカーである血中抗ミューラー管ホルモン(AMH)濃度との間に負の相関関係があることを明らかにするとともに、炎症性マーカーである血清アミロイドA(SAA)濃度測定とも負の相関を確認した。さらに、我々のフィールド調査から新規摘発したDON汚染乳用牛群をモデル牛群として、DON汚染が牛群の繁殖性(受胎率)や乳房炎などの疾病罹患率に大きく影響を与えることを確認するとともに、汚染飼料摘発後の有効な対応策を実証することができた。新規カビ毒防除法確立の一環として継続している、飼料への「オリゴ糖製剤」や「熱処理乳酸菌死菌体製剤」の添加による、尿中カビ毒濃度低減効果の検証に関しては、様々な発育ステージにおける牛群において添加試験を実施し、これまでに給与飼料へのオリゴ糖製剤(DFAIII)添加による尿中STC濃度低減効果を初めて報告するとともに、DFA III添加群と無添加群との間の血中低級脂肪酸濃度(腸管内におけるDFAIII発酵状況の確認)を比較検討して、DFA III添加による腸管内発酵状況の変化を牛において初めて確認した。さらに、黒毛和種哺乳期子牛、及び離乳前子牛を用いた代用乳への熱処理乳酸菌死菌体製剤添加試験を実施し、添加群において疾病罹患率の低下や離乳日齢の短縮効果を確認して臨床的な有用性を明らかにした。
|