研究課題/領域番号 |
21K05924
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
正谷 達謄 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (70614072)
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研究分担者 |
西山 祥子 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (90817058)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アカバネ病 / 遺伝子操作 / マウス |
研究実績の概要 |
生後感染型アカバネウイルスKM-2/Br/06株(KM株)と、FI-1/Br/08株(FI株)のそれぞれのNSs遺伝子をリバースジェネティクス法によって欠損させることに成功した。これらNSs欠損ウイルスの培養細胞における増殖性はそれぞれの親株と同じであったことから、NSS遺伝子はウイルス複製・出芽に大きく寄与しないことが示された。一方、NSs遺伝子欠損株のマウスに対する病原性を調べるため、4週齢ICRマウスにそれぞれのNSs欠損ウイルスおよびその親株を脳内接種し、症状および致死率を評価した。その結果、FI株については親株感染マウスが10日までに全個体死亡したのに対し、NSs欠損FI株感染マウスは一過性体重減少のみを示し、全個体生残した。したがって、FI株においてはNSs遺伝子が重要な病原性因子であることが示された。一方、興味深いことに、KM株については親株感染マウスもNSs欠損KM株感染感染マウスも同等の激しい神経症状を示し、全個体が死亡した。なお、 親株とNSs欠損株の間で、全個体死亡するまでの経過に差がみられなかったことから、KM株についてはNSs遺伝子は病原性に関連していない可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異なる2つの生後感染型アカバネウイルス株において、病原性を決定するウイルス遺伝子が異なる可能性を示した。特に、KM株は強い病原性を有するにも関わらず、多くのブニヤウイルスにとって共通した病原性因子であるNSs遺伝子が病原性を決める要因でなかったことは、同グループのウイルスの中で極めてユニークな性質といえる。このように、興味深い現象を新規に見いだすことができたため、おおむね順調に進展していると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
KM株の病原性を決めるウイルス因子を特定する。具体的には、培養細胞(Vero細胞など)でKM株を連続継代することで弱毒株の作出を試みる。得られた継代株の病原性をマウスモデルで評価し、弱毒化が認められた場合、継代株全ゲノム配列を解読し、変異導入箇所を特定する。特定した塩基置換を親株に導入していくことで、どの変異が最も大きく弱毒化に寄与したかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
鹿児島大学から岐阜大学へ2020年末に異動となったが、本研究を岐阜大学で実行するのに必要となるウイルス遺伝子組み換えの大臣確認申請に時間がかかったため、鹿児島大学に残留していた大学院生しか手を動かすことができなかった。また、獣医学会、ウイルス学会ともにコロナウイルスの影響でオンライン開催となったため。
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