研究課題/領域番号 |
21K05946
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
田島 剛 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (60508878)
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研究分担者 |
三浦 亮太朗 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (60782133)
金田 剛治 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (10350175)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 牛 / 第四胃変位 / 血中脂肪酸 / 中鎖脂肪酸 / ω-3脂肪酸 |
研究実績の概要 |
分娩後の牛で好発する第四胃変位は発症後に乳量減少を伴うだけでなく死亡・廃用淘汰率も高いことから供用年数短縮の要因にもなっている。牛第四胃変位の病態解析では代謝プロファイリングを中心とした知見が得られているが、最も重要な要因である第四胃アトニーの発症メカニズムについて「実際には第四胃平滑筋に何がおきているのか」が不明なままであり、本症の制圧を難しくする原因となっている。、申請者はこれまでに第四胃の平滑筋組織を用いた研究を通し、中鎖脂肪酸の増加とω-3脂肪酸の減少が第四胃収縮を抑制して第四胃変位の発症のプロセスに大きく関わっていることを発見した。しかし、これらの変化が実際の第四胃変位牛の生体内でいつどのように発生しているのかは不明である。 。本研究では、供試牛それぞれの中鎖脂肪酸およびω-3脂肪酸の動態を分娩前から分娩後8週まで継続的にモニタリングし、脂肪酸産生・代謝経路およびや脂肪酸/TLR4シグナルの活性化がどのように変化するかを理解することをめざす。これまでの先行研究では、ある一時点における牛群の評価を行い、その結果から考察することが一般的な研究デザインとして用いられてきたが、本研究ではそれぞれの供試牛について分娩前から分娩後8週まで連続して解析を行なうことにより、より明瞭な成績が得られることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画1年目では単独でTLR4のリガンドとなり得るラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸の他、TLR4シグナル抑制に関与するエイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸をはじめとする24種類の脂肪酸に注目し、72頭のホルスタインから妊娠末期(分娩予定1週前)、分娩後0~8週に血液を採取し、血中脂肪酸動態について解析した。具体的には、飼養給餌形態の近い2牧場でのべ72頭のホルスタインから上記期間毎週採血ならびに供試牛の第四胃超音波検査を含む健康状態の観察と泌乳状況調査を実施した。今回は対照となる正常群血中脂肪酸について定量した。すなわち、キャピラリーカラムを装着したガスクロマトグラフを用い血清よりFolchらの方法で抽出しBF3メタノールでエステル化した試料を分離分析したところ良好な成績が得られた。本法での抽出操作を含めた再現性はアラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸のいずれについても5%以下と良好で各各のメチルエステルを用いて得られた添加回収率もほぼ100%と良好な値を示した。特にエイコサペンタエン酸は7.7±2.5 ug/mLに対しドコサヘキサエン酸は1.5±0.4 ug/mLであり、牛においてはω-3脂肪酸がTLR4シグナル抑制に関与している可能性が示唆された。 今回の実験結果は過去のin vitro試験結果を裏付けるものであり、今後の第四胃変位発症牛の成績を解析するための基礎的知見となり得る。今後は、第四胃変位発症牛ならびに関連疾患であるケトーシス牛等の疾患牛についてより精緻に検証する必要があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究期間において、正常牛における妊娠末期から分娩8週後までの血中脂肪酸動態が明らかとなった。引き続き正常牛における血中脂肪酸動態について精査するとともに、第四位変位発症牛ならびに関連疾患の牛における血中脂肪酸量の増減ならびに脂肪酸代謝系の変化について解析を行う。また、脂肪酸動態の変化と血中/第四胃組織中のアディポサイトカイン発現との関連について明らかにするために、初代培養白色脂肪細胞を作成し、この細胞を用いて中鎖脂肪酸の産生に関わるβ酸化系酵素群の発現やその調節に関与するPPARα/γシグナルおよびTLR4受容体関連シグナル(MyD88、TRIF6、NF-kB)の活性化について遺伝子・蛋白質レベルで検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度直接経費申請額は当初1,700,000円であった。そのうちの大部分を物品費として使用予定であったが、他の学内研究費等により共通利用の消耗品費を充当することができた。その為、実使用額は1,529,459円となり、170,541円を繰り越した。2020年度については、当初600,000円の直接経費を計上していたが、繰り越し金額を加算し、より機動的に研究を展開する予定である。用途は2021年度分と変わらず物品費として研究遂行に必要な試薬等の消耗品購入に充てる予定である。
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