研究課題
本年度は、予定外のリアルタイムPCR装置の変更に伴い、昨年度に確立した定量的PCRの条件を再度検討した。その結果、これまで以上の精度で遺伝子型を判定可能になった。一方、サンプリング条件が整わず、死後時間が経過してから固定された虫体から抽出したゲノムDNAを用いると、定量的PCCRで理論通りの遺伝子型判定が困難であることが判明した。したがって、今後、判定に適するDNAの品質を検討する必要が示された。また、これまでは核DNAマーカーであるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(pepck)とDNAポリメラーゼδ(pold)をターゲットとしてきたが、より多くのマーカーを用いれば遺伝子型の判定精度が上がると考えたことから、新たな核DNAマーカーとしてFatty acid binding protein type I(FABP typeI)に着目した。pepckとpoldと同様にFABP type Iも、種鑑別マーカーとして十分な信頼性を有しており、単為生殖型肝蛭の遺伝子型判定に有用であることが明らかとなった。現在、FABP type Iをターゲットにした遺伝子型判定のための定量的PCRを検討中である。次年度以降は、DNAの品質の課題を解決するとともに、世界各地の肝蛭を用いた疫学調査を行い、単為生殖型肝蛭2倍体と3倍体の分布状況と遺伝子型を明らかにし、3倍体の出現様式を解明する予定である。
2: おおむね順調に進展している
機材変更に左右されない定量的PCRの条件を確立できたため。また、新たな核DNAマーカーとしてFABP type Iが有効であることを明らかにできたため。
新たに見出したFABP type Iを用いた定量的PCRを確立する。また、最終年度にはTaqManプローブを用いた定量的Multiplex PCRの開発も実現したい。
コロナウイルス感染症の流行による学会のオンライン開催等の要因で、予定通りに旅費を執行できなかったため。次年度の旅費・物品費として使用する計画である。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 6件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (2件)
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