研究課題/領域番号 |
21K05956
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
金 京純 鳥取大学, 農学部, 准教授 (20646012)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 住血原虫 / 吸血節足動物 / ベクター |
研究実績の概要 |
住血原虫は、脊椎動物の血液に寄生し、吸血性節足動物によって媒介される。鳥に寄生する住血原虫は200種以上が知られているが、媒介節足動物(ベクター)が特定されているのは約40種(2割)のみである。本研究は、鳥類に寄生する吸血節足動物に焦点を当て、ベクターが明らかにされていない住血原虫のベクターを特定することを主目的とする。また、本研究では、国内の一定地域における野鳥類の住血原虫感染状況を複数年にわたり調べることで、国内で感染環が維持されている在来の住血原虫を明らかにする。 2023年度は、野鳥の血液約300検体についてPCR法による住血原虫の検出を実施した結果、陽性率は6.2~15.8%であり、Plasmodium属およびHaemoproteus属が検出された。これらの遺伝子型を調べた結果、日本を含め世界的に広く分布する遺伝子型と、国内に限って分布する遺伝子型が明らかになった。また、渡り鳥から検出される住血原虫のなかには、海外で感染したと考えられる遺伝子型の存在が示唆された。なお、本実験で用いたPCRプライマーは、Leucocytozoon属の感染を過小評価している可能性があるため、今後、Leucocytozoon属特異的プライマーを用いてPCRを実施する予定である。 鳥類住血原虫の未知のベクターを探索する目的で、野鳥類の巣内吸血節足動物について調査した。その結果、ダニ類、ノミ類が採集され、これら吸血節足動物について、PCR法による住血原虫DNAの検出を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19流行による移動制限のため、県外調査地におけるサンプリングを当初の計画通りに実施することができなかった。 昨年に引き続き、調査対象とした野鳥の繁殖コロニーが放棄されたため、当初の予定に比べ、実際に採取できた検体数が少なかった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も引き続き野鳥検体および吸血節足動物を採取し、住血原虫の検出を試みる。 これまで用いているPCRプライマーは、Leucocytozoon属の感染を過小評価している可能性があるため、今後、Leucocytozoon属特異的プライマーを用いてPCRを実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額62039円は県外調査地における調査が中止となったために生じた。次年度使用額については、科研費使用ガイドラインに基づき適切に使用する。
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