研究実績の概要 |
初年度は,膵炎におけるIL-19の新規調節機構の解明を目的とし,野生型マウス(WT)とIL-19遺伝子欠損マウス(KO)を用いてエタノール(EtOH)誘導性慢性膵炎モデルを作製し,病態を比較検討した.C57BL/6系,雄,7~11週齢のWT及びKOを用い,EtOH誘導性慢性膵炎マウスモデルの作製を4つの方法で検討した.1つ目は,実験期間を4週間とし,EtOHを最終濃度20%自由飲水で与えた.2~4つ目は,実験期間を7週間とし,EtOHを1週目は10%,2週目は15%,3週目以降は20%とし,自由飲水で与えた.LPSを全ての方法において採材までの4週間,週に2回腹腔内投与し,2つ目の方法のみ1週目にも2回腹腔内投与した.LPSの濃度は1つ目から4つ目の順に,1, 4, 4, 3 mg/kgを用いた.全ての方法において,実験開始後は体重とEtOH飲水量をモニタリングした.実験終了時に心採血および膵臓の採材を行い,血中アミラーゼの測定及び膵臓の各種染色により組織像を評価した.全ての方法で,体重,EtOH飲水量,血中アミラーゼにおいて,WTとKOとの間に明確な差は認められなかった.1つ目の方法では,組織像でも変化はみられなかった.2つ目の方法では,初回LPS投与後に死亡したマウスが多かったものの,炎症性細胞浸潤や線維化は認められ,膵腺房細胞に空胞も認められた.3つ目の方法では,初回LPS投与後に死亡したマウスが多く,実験は中止した.念のため採材した膵臓の組織像では,炎症は起こっていなかったが,膵腺房細胞に空胞は認められた.4つ目の方法では,炎症の程度としては弱いものの,炎症性細胞浸潤と,膵腺房細胞の空胞が認められた.
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