現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、3因子(Anxa1、Anxa5、Vdr)の性周期中の変化、パルス状GnRHの関与、ノックアウト(KO)マウスおよび下垂体初代培養系による3因子の相互作用の検証を行う。2022年度は、以下の2実験を行った。 【実験1】各性周期の雌ラット下垂体前葉のAnxa1、Anxa5、とVdrの発現が、発情前期で有意に減少すること、および3因子間で正の相関がみられることを示した(Murata T. et al., J. Vet. Med. Sci. 84: 1065, 2022)。この結果は、GnRHサージの影響を除くために各ステージの午前中の採取を行ったが、GnRHサージが起こる発情前期では2時間ごとの採取を行い、GnRHにより誘導される遺伝子間での正の相関を見出している。 【実験2】LβT2細胞におけるAnxa1発現調節の解析を行った。LβT2細胞のAnxa1とAnxa5の発現は、ともにMEK-PKCの活性化を伴いGnRHaによって発現が増加することを示し(Murata T. et al., Endocrine J. 69: 283, 2022)、さらに異なる濃度のGnRH刺激により、Anxa1とAnxa5の発現パターンが異なることが明らかになった。さらに、FSH発現を刺激する因子であるアクチビンが、LβT2細胞においてAnxa5の発現を抑制すること、そしてGnRHaにより起こるAnxa1発現の増加をさらに増強することを明らかにし(Murata T. et al., Endocrine J. 69: 1193, 2022)、さらに糖質コルチコイドが同様の作用を示すことを明らかにした。これらのことにより、Anxa1とAnxa5の発現において異なる調節系の存在が示唆され、マウス下垂体由来の濾胞星状細胞様のTtT/GF細胞などの他の培養細胞を用いて検討中である。
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