雌性動物の繁殖機能は、視床下部―下垂体―卵巣を軸として制御されている。アネキシンA5(ANXA5)は、下垂体に発現し、下垂体からの黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を促進する。最近、ANXA1も、下垂体に発現し、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)により発現が増加することが明らかになった。本研究の目的は、ANXA1、ANXA5およびビタミンDレセプター(VDR)の関連に注目し、下垂体からのLHおよびFSHの分泌において、ANXA1がどのような役割を果たしているのかを解明することである。マウス下垂体ゴナドトロフ由来のLβT2細胞において、FSH発現を特異的に促進する因子であるアクチビンが、Anxa5の発現を抑制し、GnRHアゴニストによるAnxa1発現の増加をさらに増強することが明らかになった。性周期中の雌ラットの下垂体前葉において、Anxa1、Anxa5、Vdr、インヒビンαサブユニット(Inha)、インヒビン/アクチビンβBサブユニット(Actbb)の発現を調べたところ、Anxa1、Anxa5、Vdrの3因子間、Actbb、Anxa5の2因子間、およびInha、Vdrの2因子間の遺伝子発現に強い正の相関があることがわかった。さらに、発情前期において、Anxa5、Fshbの2因子間、Inha、Actbbの2因子間、Lhb、Inhaの2因子間、およびLhb、Vdrの2因子間の遺伝子発現に正の相関がみられた。 これらのことは、Anxa1とAnxa5は調節系および作用において類似性が高いと考えられてきたが、両者間の異なる調節系や作用の存在とそれらの調節にアクチビン、インヒビン、ビタミンD3が関与している可能性を示唆している。
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