研究課題
本研究の目的は、BSL4のウイルスであるBウイルスの遺伝子を、HSV-1またはHSV-2に組換えることにより、BSL2での解析を可能にすることである。この組換え体 を用いて、Bウイルス病の治療(薬剤開発)及び予防(ワクチン開発)に関わる薬剤感受性試験やチャレンジ試験の系の確立を図る。また、これまでほとんど明らか にされてこなかったBウイルスのヒトにおける神経病原性の機序を明らかにするものである。 本研究により、Bウイルスに対する薬剤やワクチンの開発に関する 研究や遺伝子の機能解析を、BSL2レベルで、in vitro及びin vivoで解析することが可能となる。 令和5年度は、前年度獲得した、薬剤存在下(ACV及びGCV)での継代により、元株(HSV-1/BVTK)と比較して薬剤に対する感受性が低下した(耐性を示した)数十のクローンのゲノム上における薬剤耐性に関わる遺伝子変異部位の同定を試みた。薬剤耐性に関わるTK遺伝子及びDNApoly遺伝子をシーケンスしたところ、ACV耐性HSV-1/BVTKクローンは全てのクローンでTK遺伝子には全く変異が検出されず、DNApoly遺伝子にのみ耐性変異が検出された。一方で、GCV耐性HSV-1/BVTKクローンは全て、TK遺伝子にもDNApoly遺伝子にも変異が検出されなかった。このことから、BVは、ACV及びGCV投与において、TK変異による耐性を獲得しにくいことが示唆された。また、TK及びDNApoly遺伝子以外の機構による薬剤耐性の可能性も示唆された。本研究により、元来BSL4で扱う病原体であるBVをBSL2レベルで抗ウイルス薬に対する耐性獲得機序を解析できる系が構築された。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)
Microbiology Spectrum
巻: 12 ページ: e0309123 1-14
10.1128/spectrum.03091-23