細胞は、機械刺激、温度、酸素を含む多様な外環境に対して、適切に応答し適応することで生存が可能になる。重要な外環境の一つに、間質液や血液中のプロトン濃度、すなわち外液pHがあるが、pHに対する細胞の適応機構はそれほど理解されていない。本研究では、外液pH変化に直接触れる細胞膜に着目して解析を行い、細胞膜を構成する膜リン脂質が、その局在を内層から外層に変化させるという、新たな感知・適応機構を見つけた。この機構を制御する膜タンパク質を欠損する個体は異常発生を示すことから、体の中で適切にpH応答することが個体発生に大事であるという知見を得た。
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