研究課題/領域番号 |
21K05988
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
岡村 永一 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 助教 (30755913)
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研究分担者 |
水野 直彬 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (30815642)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 栄養膜細胞 / カニクイザル / ノックアウト / 着床 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は哺乳動物の胚盤胞期胚において栄養膜細胞特異的に遺伝子をノックアウトする技術を開発し、未だ謎に包まれたヒトを含む霊長類における着床の分子メカニズムを明らかにすることである。このために、超効率的トランスジェニック法と透明帯透過型AAV(アデノ随伴ウイルス)ベクターを用いた新規手法を確立する。 今年度はまずトランスポゼースを用いて大きなトランスジーンDNAをマウス受精卵に効率的に導入するための条件検討を行った。RNAやDNAの濃度、および、導入方法を至適化検討を行った結果、9割以上の受精卵がトランスジーンを保持する条件を見出すことに成功した。また、EGFP発現カセットを搭載したAAVを用い、栄養膜細胞が特異的にAAVに感染するウイルス濃度の至適化を行った。 その他、CRISPR/Cas9システムによりノックアウトを行うためのgRNA/Cas9共発現ベクターの構築を行った。この際、確実にノックアウトを行うため恒常性gRNA発現ユニットは3つタンデムに連結する工夫を施した。またこのベクターが機能的であることを培養細胞株を用いて確認した。 さらに、マウス受精卵を用いた実験結果から得られた知見に基づき、トランスポゼースを用いてカニクイザル受精卵においてトランスジーンを導入するための条件検討を行なった。その結果、これまでレンチウイルスベクターでは不可能であった8kbpを超える大きなトランスジーンDNAをカニクイザルゲノムに挿入することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画よりもトランスポゼースによる受精卵へのトランスジーン挿入の条件検討に時間を要した。そのため、AAVを用いた実験計画が遅れている。一方で、カニクイザル受精卵を用いた実験は当初計画よりも進展があったため、全体としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
計画はおおむね順調に進展しているため、今後も計画に従い、トランスポゼースとAAVを用いた栄養膜細胞特異的ノックアウト法の確立に向けて着実に実験を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に計画していた受精卵に対するAAVの感染実験が遅れているため、関連試薬の購入が当初見込みより少なかった。この実験は次年度に実施するため、次年度に必要な物品を購入する。
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