研究課題
今年度は我々が開発した超高効率piggyBacトランスジェニック(Tg)マウス作成技術を用いて、より大きなトランスジーンの導入を試みた。条件検討の結果、約12kbpのトランスジーンを用いた場合においても100%の効率でTgマウスを作成することに成功した。さらに、約170kbpのBAC Tgマウスも約70%の効率で作出することに成功した。従って、構築を進めている比較的大きいサイズのCre誘導型ゲノム編集カセットも高効率でマウスゲノムに挿入可能であることが示された。また、昨年度に引き続き、シングルセルレベルでのTgマウスの品質評価を行なった。具体的には、トランスジーンの有無をRNAとして検出可能な系を構築し、シングルセルRNA-seq解析を実施した。その結果、ほぼ全ての細胞がトランスジーンを保持していることが示され、我々が開発したTgマウス作成技術がファウンダー世代におけるノックアウト表現型解析に適した系であることが示された。実際にファウンダー世代における組織特異的ノックアウト実験が可能が実証するため、心臓および精巣特異的プロモーターを用いたプレ実験を実施した。その結果、既報の表現型を再現することに成功した。本研究の最終目標であった栄養膜特異的ノックアウトの実現には至らなかったが、そのための基盤技術の構築には成功し、また、Tgマウスの品質評価系の開発など当初は計画していなかった技術の開発にも成功したことから、十分な成果が得られたと考えている。これらの結果の一部はプレプリント論文として報告するとともに、国内学会と国際学会で発表した。今後正式な論文として発表予定である。
すべて 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)