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2021 年度 実施状況報告書

シングルセルRNA-seqを用いた抗HIV抗体投与による寛解メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K05989
研究機関熊本大学

研究代表者

桑田 岳夫  熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 特任准教授 (70346063)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード抗体 / SHIV / カニクイザル / RNA-seq
研究実績の概要

効果的な抗ウイルス薬の開発によりHIV感染者の治療は劇的に進歩し、感染者の治療は新たな感染を防ぐ予防効果があることもあきらかとなっています。しかしながら、全ての感染者が抗HIV薬を服用し続けることは非常に困難であり、より投与回数の少ない抗ウイルス薬の開発が求められています。本研究の目的は、新たな抗ウイルス薬候補である抗HIV抗体の投与によって寛解状態に至るメカニズムの解明です。
SHIV感染カニクイザル・モデルにおいて、抗HIV抗体の3回投与によってウイルス増殖を持続的に抑制して寛解状態となったサルと、ウイルスを抑えきれなかったサルが認められました。このため、抗体投与後のリンパ節のsingle cell RNA sequencingを行って1細胞ごとの遺伝子発現プロファイリングを行い、ウイルス抑制と相関する細胞群や遺伝子発現の特定を試みました。本年度は、カイコで産生した抗HIV抗体を低容量で投与した4頭、高容量で投与した3頭、CHO細胞で産生した抗HIV抗体を低容量で投与した2頭のウイルス接種前と接種後8週のリンパ節を用いてsingle cell sequencingを行いました。カニクイザルのリンパ節の解析例がほとんど報告されていないため、遺伝子発現によって分けられたクラスターごとに高発現している遺伝子を調べ、カニクイザルでの細胞群特定のマーカー遺伝子を同定した。このマーカー遺伝子によって、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、B細胞、NK細胞、樹状細胞などの細胞群を同定しました。これまでの解析では、ウイルス抑制と相関する細胞群や特定の遺伝子発現の増減は認められず、来年度以降、詳細な解析を行なっていく予定です。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

9頭のカニクイザルからSHIV接種前と接種後8週のリンパ節を取得し、single cell sequencingを行うことができた。カニクイザルのリンパ節の細胞群の同定は、これまでにほとんど報告されていないため、ヒトで使用されているマーカーを参考にし、各細胞群で発現が高い遺伝子を調べ、カニクイザルで使用できるマーカーを特定した。各細胞群について、細胞数や遺伝子発現の違いをウイルス抑制群と非抑制群で比較し、大きな差は見られないことをあきらかにした。これらの成果は、本年度の解析が予定通り行われたことを示している。

今後の研究の推進方策

今年度の解析結果では、ウイルス抑制群と非抑制群で遺伝子発現に大きな差がないことが分かった。今後、Gene Set Enrichment Analysisなどの新たな解析法の導入によって、より詳細な解析を行い、ウイルス抑制と相関する遺伝子発現の特定を目指す。また、より解析の精度を上げるため、新たなサルからリンパ節を取得し、single cell sequencingを行う。今年度は感染後8週のリンパ節を解析したが、大きな遺伝子発現の差異がなかったため、ウイルス抑制のために細胞が活性化していると考えられる感染後4週のリンパ節の解析も検討している。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響により、多くのプラスチック製品やキットが今年度中に納品されなかったため。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) 産業財産権 (2件) (うち外国 2件)

  • [雑誌論文] Phenotypic and Genotypic Co-receptor Tropism Testing in HIV-1 Epidemic Region of Tanzania Where Multiple Non-B Subtypes Co-circulate2021

    • 著者名/発表者名
      Judicate GP, Barabona G, Kamori D, Mahiti M, Tan TS, Ozono S, Mgunya AS, Kuwata T, Matsushita S, Sunguya B, Lyamuya E, Tokunaga K, Ueno T
    • 雑誌名

      Frontiers in Microbiology

      巻: 12 ページ: 703041

    • DOI

      10.3389/fmicb.2021.703041

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] A Potent Anti-Simian Immunodeficiency Virus Neutralizing Antibody Induction Associated with a Germ Line Immunoglobulin Gene Polymorphism in Rhesus Macaques2021

    • 著者名/発表者名
      Matsuoka S, Kuwata T, Ishii H, Sekizuka T, Kuroda M, Sano M, Okazaki M, Yamamoto H, Shimizu M, Matsushita S, Seki Y, Saito A, Sakawaki H, Hirsch VM, Miura T, Akari H, Matano T
    • 雑誌名

      Journal of Virology

      巻: 95 ページ: e02455-20

    • DOI

      10.1128/JVI.02455-20

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Neutralizing Antibody Induction Associated with a Germline Immunoglobulin Gene Polymorphism in Neutralization-Resistant SIVsmE543-3 Infection2021

    • 著者名/発表者名
      Nomura Y, Matsuoka S, Okazaki M, Kuwata T, Matano T, Ishii H
    • 雑誌名

      Viruses

      巻: 13 ページ: 1181

    • DOI

      10.3390/v13061181

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Hybrids of Small-Molecule CD4 Mimics with Polyethylene Glycol Units as HIV Entry Inhibitors2021

    • 著者名/発表者名
      Kobayakawa T, Tsuji K, Konno K, Himeno A, Masuda A, Yang T, Takahashi K, Ishida Y, Ohashi N, Kuwata T, Matsumoto K, Yoshimura K, Sakawaki H, Miura T, Harada S, Matsushita S, Tamamura H
    • 雑誌名

      Journal of Medical Chemistry

      巻: 64 ページ: 1481-1496

    • DOI

      10.1021/acs.jmedchem.0c01153

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] CD4類似化合物YIR-821によるサブタイプB HIV-1患者抗体の活性増強効果2021

    • 著者名/発表者名
      松本佳穂、桑田岳夫、Zahid Md H、郭悠、Biswas S、高濱正吉、玉村啓和、松下修三
    • 学会等名
      第35回日本エイズ学会学術集会・総会
  • [学会発表] Anti-Idiotype antibodies as sorting probes to isolate anti-CD4i antibodies2021

    • 著者名/発表者名
      Biswas S, Yamauchi S, Morioka H, Kaku Y, Kuwata T, Matsushita S
    • 学会等名
      第35回日本エイズ学会学術集会・総会
  • [学会発表] 中和抗体抵抗性SIV感染サルにおいて免疫グロブリン遺伝子多型が中和抗体誘導に及ぼす影響の解析2021

    • 著者名/発表者名
      野村柚仁、松岡佐織、岡崎みどり、桑田岳夫、俣野哲郎、石井洋
    • 学会等名
      第35回日本エイズ学会学術集会・総会
  • [産業財産権] 抗HIV-1 V3抗体1C10(0.5γ)に結合する抗体及びその抗原結合断片並びにその応用2021

    • 発明者名
      松下修三、郭悠、桑田岳夫
    • 権利者名
      松下修三、郭悠、桑田岳夫
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2020/036760
    • 外国
  • [産業財産権] 抗HIV抗体の製造方法2021

    • 発明者名
      松下修三;桑田岳夫;清水 衛;冨田正浩;道下眞弘
    • 権利者名
      松下修三;桑田岳夫;清水 衛;冨田正浩;道下眞弘
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2020-553897
    • 外国

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公開日: 2022-12-28  

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