研究課題/領域番号 |
21K06006
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
清成 寛 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (40721048)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 有袋類 / オポッサム / 生殖工学 / 発生工学 |
研究実績の概要 |
有袋類であるハイイロジネズミオポッサム(以下、オポッサム)は、従来のモデル哺乳動物にはみられない形態形成機構や環境適応のメカニズムを有する。本研究計画では、遺伝子改変オポッサム作製の効率化を目指すと共に、F0世代による遺伝子機能解析を可能とする次世代型遺伝学的手法の基盤技術開発およびリソース化を目指した受精卵の凍結保存技術の確立を目的とする。 オポッサムは、マウスやラットのように発情を特定することは極めて困難であるとされている。我々は、雌の膣の日々の状態観察を行い、わずかに膣の状態が変化していくこと、同居中の雄からある時期に特有な刺激臭が放たれることを確認し、この事とメスの発情との相関関係について調べた。しかしながら、現在までに明確な相関関係を示すデータは得られていない。 一方で、仕切り板およびホルモン投与により発情をコントロールする事が可能となり、発情を誘起することで排卵を誘発させることにも成功している。 オポッサムは、プラグチェックやスメアチェックによる交尾確認ができないため、カメラによる撮影後、取得した画像の視認により交尾日時の特定を実施してきた。1度に複数のケージを対象とした場合、交尾確認に多大な時間を要するため、改善を要した。オポッサムの交尾時間は3-5分と比較的長く、かつ、縄張り意識が強いため交尾以外の時間は長時間雌雄が近接することはない。従ってトラッキングシステムを導入することにより、交尾の日時を簡単に特定することを試みており、良好な結果が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メスの膣状態観察や刺激臭による発情特定はできていないものの、別の手法による発情誘起や、発情と排卵との相関関係が見出されつつあり、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
比較的安定して発情誘起による排卵コントロールが可能となったことから、今後は交尾のタイミング、すなわち、受精のタイミングをコントロールすることにより、効率的な遺伝子改変オポッサムの作製に必須であるマイクロインジェクションに最適なステージの受精卵獲得を進めていく。また、交尾確認のために導入を検討しているトラッキングシステムは、トラッキング精度、取得画像の解像度の問題、複数ケージへの対応について引き続き検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は予定していた学会への参加がオンラインに変更となったため、旅費等で若干の繰越しが生じた。金額的には少額であるため、次年度開催予定の学会参加費用および消耗品にて使用を計画している。
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