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2021 年度 実施状況報告書

新規トランスポゾン転移制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06008
研究機関北海道大学

研究代表者

伊藤 秀臣  北海道大学, 理学研究院, 准教授 (70582295)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードトランスポゾン / シロイヌナズナ / エピジェネティクス
研究実績の概要

本研究では、シロイヌナズナの変異体を用いてトランスポゾンの新規の転移制御機構を解明することが目的である。。ONSENの転写レベルを可視化するために、ONSENのプロモーター領域を含むLTR配列にgreen fluorescent protein (GFP)の配列を付加したLTR:GFPを導入した形質転換シロイヌナズナを作成し、EMS処理を行い変異体を作成した。2.高温ストレス(HS)処理後のONSENの転写レベルが高い変異体は既知のエピジェネティックな制御因子の機能欠損の可能性が高いため、HS後もONSENの転写レベルが低いにも関わらず転移が観察される変異体screen1に着目し同定した。3.screen1でみられる、「ONSENが世代を超えて転移する」という形質が劣性変異によるものかどうかを確認するために、この変異体と野生型を交配したF1雑種に高温ストレスを与え、その次世代であるF2個体においてONSENの転移の有無を確認した。その結果、F2世代でONSENの新規転移は確認されず、screen1の原因遺伝子は劣性であることが示唆された。4.screen1と野生型を交配したF2集団に高温ストレスをかけ、F3個体でのONSEN転移をサザンブロッティングにより確認し、転移が確認できた系統の個体を収集した。収集した全ての個体のDNAをまとめてシークエンスし、野生型の配列と比較しSingle Nucleotide Polymorphism (SNP)-indexを算出した。このSNP-indexと染色体上の位置をプロットすることで、原因遺伝子が存在することが予想される領域をマッピングした結果、3番染色体上にscreen1の原因遺伝子が存在することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.T-DNA挿入変異体を用いたscreen1の原因遺伝子の同定
遺伝子マッピングの結果をもとに選出したscreen1の原因遺伝子候補の変異体を用いた転移解析を行う。HSを与えた変異体の次世代個体でのONSENの転移を検出する。変異体を選抜する際には、できる限り遺伝子マッピングで検出されたSNPsの位置に近いT-DNA挿入を持つもの選ぶ。現在変異体の種子を増やすため植物を生育中である。
2.クラシカルマッピングによるscreen1の原因遺伝子の同定
原因遺伝子が存在する領域をさらに絞り込むために、クラシカルマッピングを用いた解析を行なった。クラシカルマッピングでは、Col-0バックグラウンドであるscreen1を、シロイヌナズナの別のエコタイプであるLandsberg(Ler)に交配し、遺伝子マッピングにより明らかになった領域以外を、全てLerのゲノムに置換した系統を作成した。作成した系統を用いて、ONSENの転移解析を行うとともに、さらにCol-0/Ler領域を区別することができるDNA Markerにて転移と原因領域の関係を確認することで、screen1の原因遺伝子が座乗すると予想される染色体領域を狭めた。狭めた領域内で再度候補遺伝子を選出し、それらについてONSENの転移解析を行うことでscreen1の原因遺伝子を同定する予定である。現在、狭めた領域を持つ個体のゲノムを次世代シーケンサー読み変異体を解析している。

今後の研究の推進方策

SCREEN1の機能解析
screen1の原因遺伝子が同定できた場合は、その遺伝子の機能解析を行う。既知のタンパク質をコードする遺伝子の場合は、そのタンパク質がどのような因子と相互作用し、どのような経路でONSENの転移抑制に関与しているかを明らかにする。未知の遺伝子の場合は、ヌクレオチドや核酸に関わる配列モチーフをもとに、構造機能解析を行う。また、screen1の原因遺伝子の欠失変異体がストックセンターから得られない場合は、ゲノム編集により野生型シロイヌナズナのSCREEN1をコードする遺伝子の機能を欠損させ、ONSENの世代を超えた転移が再現できるか確かめる。
SCREEN1の組織特異的な制御機構の解明
screen1において未分化細胞が集まる茎頂分裂組織特異的にONSENの発現が上昇するか解析する。本研究で使用するscreen1系統がLTR:GFP形質転換体であることを用いて、高温ストレス後の茎頂分裂組織を切片化し、共焦点顕微鏡で観察する。もし発現上昇を示唆する結果が得られれば、レーザーマイクロダイセクションを用いて、茎頂分裂組織からRNAを抽出し、ONSENの発現解析を行い、茎頂分裂組織特異的なONSENの制御機構を明らかにする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Investigating a novel regulator of heat-responsive retrotransposons in Arabidopsis thaliana.2022

    • 著者名/発表者名
      牛小蛍、竹平佳菜子、加藤敦之、伊藤秀臣
    • 学会等名
      日本植物生理学会
  • [学会発表] シロイヌナズナにおける熱活性型レトロトランスポゾンの新規転移制御因子の探索2021

    • 著者名/発表者名
      牛小蛍、竹平佳菜子、加藤敦之、伊藤秀臣
    • 学会等名
      日本遺伝学会

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公開日: 2023-12-25  

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