研究課題
トランスポゾンや反復配列は一般的にDNAのメチル化やヒストン修飾によりヘテロクロマチン化され、転写が抑制されており、転移に必要なタンパク質を発現で きないことから転移が起こらない状態が保たれている。しかしながら、我々の先行研究の結果から、ONSENの転移効率と転移頻度は、転写レベルと必ずしも相関 しているわけではない結果を得た(Hayashi et al. 2020)。このことから、ONSENの転移制御には、転写レベルでの制御以外に転移制御に関わる重要な因子が存在 することが示唆された。そこで,未知の転移制御機構が存在するという着想に至り、実際に変異体スクリーニングを行った結果、ONSENの転写レベルは野生型と 変わらないが世代を超えた転移が観察される変異体screen1を同定した。この変異体は、既知の抑制的エピジェネティック修飾に関与する遺伝子の変異体とは異 なり、ONSENの転写レベルは野生型と変わらない。このことは、ONSENの転移をゲノムの挿入レベルで制御する新規の制御機構の存在を示唆している。本研究で は、シロイヌナズナの変異体を用いてトランスポゾンの新規の転移制御機構を解明することが目的であった。ONSENの転移制御に関与する新規の因子を同定するた めに、多数の原因候補遺伝子を選出して、サザンブロットにより転移解析を行った。しかし、全ての変異体でONSENの転移が検出できなかった。今までの結果から、screen1 の原因因子は 5.3Mbから8.9Mbまでの領域にあることがわかった。そのため、48時間の熱ストレスをかけた5.3Mbから8.9Mbまでの領域にある17個原因遺伝子を用いてTED-seqによりONSENの転移を検出した。現在TED-seqの結果を解析中である。
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Frontiers in Plant Science
巻: 15 ページ: 1-11
10.3389/fpls.2024.1355626