研究課題/領域番号 |
21K06023
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
安原 徳子 (垣内徳子) 日本大学, 文理学部, 准教授 (90423152)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 核輸送因子 / importin α / クロマチン |
研究実績の概要 |
真核生物の細胞に存在する核輸送因子importin は、核膜孔を介してサイズの大きな分子を核内外へと選択的に輸送する。importin αはタンパク質の核局在化シグナルを認識する輸送受容体として働く。本研究は、importin αによる新たなクロマチン機能の制御機構を解明し、高次生命現象におけるimportin αの機能の理解を目指す。代表者らはこれまでに、importin αがDNAに直接結合することを明らかにし、その結合様式を特定した。importin αのDNA結合部位はimportin βとの結合に関わるIBBドメイン(importin β binding domain)内に存在し、塩基性アミノ酸に富む領域である。代表者らはこの領域を、NAAT(nucleic acid asocciating troley pole domain)と名付けた。本研究ではこれまでにimportin αがDNA結合タンパク質であることと、importin αが輸送基質をDNAへリクルートすることを実験的に示した。また、importin αの複数の相互作用を切り分けて機能を解析することに向けて、IBB domainの生化学的特性をアミノ酸レベルで詳細に分析し、各相互作用に重要なアミノ酸を特定した。令和4年度はこれらの結果をもとに、importin αがDNA上で他の結合分子とどのように相互作用するか解析を進めた。その結果、相互作用分子の組合せにより結合の競合に差があることを突き止め、解析を進めている。また、importin αが細胞内で結合する分子群を多数同定し、クロマチン上での相互作用分子を明らかにしつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、代表者らが新規に発見した核輸送因子importin αのクロマチン結合活性を基軸として、核輸送因子による新たなクロマチン機能の制御機構を解明し、高次生命現象におけるimportin αの機能の理解を目指す。研究計画の前半では、importin αがDNA上まで運ぶ基質タンパク質の特定、基質タンパク質のターゲット探索機構の解明を掲げている。これらについて、令和4年度はクロマチン機能の制御機構についてはin vitroレベルの実験系を確立し、importin αの機能を分子レベルで解析した。importin αの基質タンパク質を多数同定し、これらのうちクロマチン機能と関連の深いものを多数見出している。また、基質タンパク質のターゲット探索機構の解明については、importin αのDNA上での相互作用分子との結合様式を解明しつつあり、概ね予定通りに研究が進展していると言える。また、高次生命現象におけるimportin αの機能の理解についてもこれまでに知られていないimportin αの生理作用を明らかにする手掛かりを得ており、一定の成果を期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は今後、importin αによる新たなクロマチン機能の制御機構の解明を完了し、次に高次生命現象におけるimportin αの機能の理解を目指す。これまでに必要な実験系を確立できており、またすでにimportin αのクロマチン結合が関与する高次生命現象の候補を挙げることができている。令和5年度はこれらの成果を生かし、高次生命現象におけるimportin αの機能とその分子メカニズムを明らかにする。
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