研究課題
これまでに我々はヒトにおいてリボソームタンパク質RPL3 が希少修飾であるヒスチジン残基のメチル化を受けることを発見した。さらに、その修飾酵素であるMETTL18の ノックアウト細胞では、チロシンコドン特異的にリボソームの翻訳速度が促進していることを見出した。これらの予備的知見は、リボソームにおこる希少修飾がタンパク質合成の速度を調節するという可能性を示すものである。そこで、我々はリボソームプロファイリング法やSILAC 法を応用した網羅的解析を組み合わせ、この可能性にアプローチした。その結果、METTL18ノックアウト細胞では、チロシンコドンを多く含むタンパク質が細胞内で凝集していることが明らかとなった。したがって、METTL18ノックアウト細胞では、RPL3のメイル化の欠損によってチロシンコドンの読み取り速度が速くなり、その結果、チロシンを多く含むタンパク質がFolding不良になっていることが示唆された。2022年度はヒト培養細胞から精製したリボソームとRabbit reticulocyte lysateを用いたin vitro hybrid translation systemを構築し、RPL3のヒスチジンメチル化が直接的にリボソームのチロシンコドン読み取り速度を制御することを証明した。そして、これまでの成果を論文として発表した。本研究によりリボソームタンパク質の修飾を介したタンパク質恒常性 (プロテオスタシス)制御が明らかになると期待される。
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eLife
巻: 11 ページ: -
10.7554/eLife.72780
https://www.riken.jp/press/2022/20220621_2/index.html