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コンデンシンIとコンデンシンIIは分裂期染色体の構築に中心的な役割を果たしている。このうちコンデンシンIIは分裂期以外にも役割を持つと予想されている。本研究では昨年度までに、コンデンシンIIがG1期核内のセントロメアの分布を含む、適切な染色体テリトリーの形態と配置の確立に不可欠であることを見出した。今年度は、この過程におけるコンデンシンIIとコヒーシンの関わりに焦点をあてた解析を進めた。FISH法で特定染色体のテリトリーと複数の特定部位を検出する解析を行った結果、本研究で当初提唱した、コンデンシンIIからコヒーシンへの適切な”機能継承”とは、分裂期からG1期への移行期に、染色体全体の構造変換を担うコンデンシンIIから局所的な構造を担うコヒーシンへと、順番に引き継がれることであり、両方の機能が欠損するとG1期の染色体は個別化できず、G1期核内で染色体テリトリーが形成できないことが分かった。一方で、一旦染色体テリトリーが確立されたG2期においては、コンデンシンIIは染色体内部で、20Mb程度の大きさと予想される”中間的”腕部構造の維持に貢献していることを新たに見出した。コヒーシンはこれまでの多くの報告にあるように、局所的なクロマチンのループ構造の維持と、複製後の姉妹染色分体の接着に貢献することが確認できた。さらに、この時期にはコンデンシンIIとコヒーシンの”協調作用”がG2期の染色体テリトリーの形態と配置の維持に大きく貢献しており、この協調作用が欠損するとG2期の染色体は個別化が維持されず、テリトリーには大きな形態と配置の異常が起こることが示された。このように本研究では、細胞周期の時期によって異なる様式をとるが、コンデンシンIIとコヒーシンは、共に間期核内で染色体テリトリーの構造に大きく寄与するというモデルを提唱することができた。
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