ラビリンチュラ類はコレステロールと植物ステロール、どちらも合成する稀有な性質をもつ。その分子基盤と意義を解明する過程で、特定のステロールの欠失により細胞死や細胞分裂異常が起こることから、その機序の解明を目指した。細胞死の原因として、鉄依存的に過酸化脂質が生成することに起因するフェロトーシス様の現象が起こることを見出した。また、ステロールの構造に依存した細胞骨格の制御機構の存在も示唆された。ステロールに関連する新規酵素として、既知遺伝子とは進化的起源の異なるステロールエステル合成酵素を同定し、その構造基盤を解き明かす過程で、ステロールの生産性を向上する新技術を見出すに至った。
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