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2021 年度 実施状況報告書

細菌の細胞分裂におけるFtsZ繊維化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06036
研究機関北里大学

研究代表者

松井 崇  北里大学, 理学部, 講師 (30463582)

研究分担者 横山 武司  東北大学, 生命科学研究科, 助教 (20719447)
渡辺 豪  北里大学, 理学部, 准教授 (80547076)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードFtsZ / 分子動力学計算 / X線結晶構造解析
研究実績の概要

本研究では、真正細菌の細胞分裂制御に関わるタンパク質であるFtsZを対象とする。そのなかでも、FtsZが有する重合・乖離機構や重合構造の湾曲化などの繊維化機構を分子動力学計算、X線結晶構造解析やクライオ電子顕微鏡によるフィラメント構造の構造解析により、解明するものである。
本研究を達成するために、本年度は申請者らが過去に行ったFtsZ変異体の発現・調製・結晶構造解析に倣って2状態(T構造およびR構造)それぞれの構造状態への安定化に寄与すると思われる残基の点変異体の結晶構造解析を行った。その結果、複数の変異体の結晶構造を得ることに成功したが、これらの点変異部位ではもう一方の構造状態へ遷移するような構造変化が生じないことが明らかとなった。この結果をもとに、現在、異なる領域に存在する残基に対する変異体の構造解析に向けて、変異体試料を調製中である。これらに並行して、クライオ電子顕微鏡用試料調製にも着手し、いくつかのFtsZにおいて安定的な重合状態を再現性良く調製できる状況を確立した。
分子動力学計算においては、FtsZの構造状態の違いでの安定性を評価することに成功し、現在、重合構造状態での分子動力学計算に向けて計算条件等を検討している。
さらに、構造解析が計画通り進まない場合に備え、重合状態の結合界面を正確に捉えることを目標に、ナノフローHPLCを接続した質量分析計 (nanoLC-MS/MS) を用いた相互作用残基の同定解析法の確立を目指し、研究を進めている。種々の実験条件を検討したところ、タンパク質の構造状態を反映した情報をMSにより捉らえる手法を確立できたため、これらの手法も駆使してFtsZの繊維化機構の解明を目指してく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究目的を達成するために、異なる複数の細菌由来のFtsZおよびFtsZ変異体の調製に成功した。さらに、調製したFtsZは高エネルギー加速器研究機構のPhoton FactoryにてX線回折実験を行い、いくつかの変異体構造の解析に成功している。
また、分子動力学計算において、いくつかの前段階での検討を行うことで計算するパラメータを決定し、FtsZ単量体については動的構造の安定性を評価した。さらに、重合構造を模倣するための二量体、三量体の計算条件も検討した。
クライオ電子顕微鏡によるフィラメント構造の解析のために、高純度かつ安定的に重合構造を形成する試料条件を検討し、黄色ブドウ球菌FtsZについてはこれらの条件を満たした試料が調製できた。

今後の研究の推進方策

X線結晶構造解析については、まだT構造・R構造の各構造の安定化に寄与する残基が特定できておらず、構造変化が観測できていない。そこで、分子動力学計算を組み合わせて構造安定化に寄与すると考えられる残基の特定を目指す。
また、クライオ電子顕微鏡のための試料調製は、いくつかの細菌由来のFtsZの調製とクライオ電子顕微鏡による測定を通して、繊維化機構や繊維構造の相違を確認する。

次年度使用額が生じた理由

当初予定より研究が進展し、予定していた消耗品使用量が抑えられたため。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Chimeric mutants of staphylococcal hemolysin, which act as both one‐component and two‐component hemolysin, created by grafting the stem domain2022

    • 著者名/発表者名
      Ghanem Nouran、Kanagami Natsuki、Matsui Takashi、Takeda Kein、Kaneko Jun、Shiraishi Yasuyuki、Choe Christian A.、Uchikubo‐Kamo Tomomi、Shirouzu Mikako、Hashimoto Tsubasa、Ogawa Tomohisa、Matsuura Tomoaki、Huang Po‐Ssu、Yokoyama Takeshi、Tanaka Yoshikazu
    • 雑誌名

      The FEBS Journal

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1111/febs.16354

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] The carbohydrate tail of landomycin A is responsible for its interaction with the repressor protein LanK2022

    • 著者名/発表者名
      Tsugita Atsushi、Uehara Shiro、Matsui Takashi、Yokoyama Takeshi、Ostash Iryna、Deneka Maksym、Yalamanchili Subbarao、Bennett Clay S.、Tanaka Yoshikazu、Ostash Bohdan
    • 雑誌名

      The FEBS Journal

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1111/febs.16460

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] LC?MS peak assignment based on unanimous selection by six machine learning algorithms2021

    • 著者名/発表者名
      Ito Hiroaki、Matsui Takashi、Konno Ryo、Itakura Makoto、Kodera Yoshio
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 11 ページ: 23411

    • DOI

      10.1038/s41598-021-02899-4

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 海洋放線菌由来新規酵素の構造解析2022

    • 著者名/発表者名
      大城拓未,田中良和,伊藤卓也,小寺義男,松井崇
    • 学会等名
      2021年度量子ビームサイエンスフェスタ
  • [学会発表] 新規レクチン様タンパク質の構造と機能の解析2021

    • 著者名/発表者名
      影山大夢, 小野寺かこ, 松井崇, 小川智久, 横山武司, 田中良和
    • 学会等名
      第21回日本蛋白質科学会年会
  • [学会発表] 海洋天然物由来の新規生理活性タンパク質の構造機能解析2021

    • 著者名/発表者名
      田中良和, 影山大夢, 辺ひろみ, 増渕菜弥, 中島寛也, 小野寺かこ, 大城拓未, 松井崇, 小寺義男, 小川智久, 横山武司, 小松則夫, 荒木真理人, 酒井隆一
    • 学会等名
      第94回日本生化学会大会
  • [学会発表] 微量組織を対象とした高感度ペプチドミクス2021

    • 著者名/発表者名
      小寺義男, 中川譲, 板倉誠, 紺野亮, 紺野亮, 大橋潤子, 佐藤俊哉, 川島祐介, 松井崇
    • 学会等名
      第46回日本医用マススペクトル学会年会
  • [学会発表] SI-GeLC-MS/MSを用いた蛋白質切断状態の高精度比較分析2021

    • 著者名/発表者名
      小寺義男, 紺野亮, 伊東大晃, 松井崇
    • 学会等名
      第69回質量分析総合討論会
  • [備考] 北里大学理学部物理学科教員個人ページ

    • URL

      https://www.kitasato-u.ac.jp/sci/resea/buturi/seitai/matsui

  • [備考] 北里大学理学部物理学科特設HP「宇宙から生命へ」

    • URL

      https://www.kitasato-u.ac.jp/sci/resea/buturi/phys_sp/

  • [備考] 新着情報

    • URL

      https://www.kitasato-u.ac.jp/sci/univ/physics/news/n20211206.html

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公開日: 2022-12-28  

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