研究課題
膜タンパク質を膜に組み込む膜組込装置には、孔(チャネル)を持つタイプと持たないタイプがある。チャネル型膜組込装置の分子機構の理解は比較的すすんでいるが、非チャネル型タンパク質膜組込装置の分子機構はその多くが不明である。本研究では、非チャネル型タンパク質膜組込装置YidCの分子機構と生理機能を理解するために、変異解析や阻害剤のスクリーニングを行うことを計画した。2023年度は、昨年度に探索したYidCの阻害剤についての解析を進めるとともに、別の研究グループから報告された、別種YidCの活性を阻害するとされた物質について、枯草菌での効果を調べた。その結果、既知の阻害剤では、枯草菌YidCに対する強い阻害効果は観察されず、YidC阻害剤の種特異性が明らかになった。YidCの構造の柔軟性がこのような種特異性を生み出す原因である可能性が考えられる。一方で、昨年度までに同定した枯草菌YidCの新規基質についての解析を、論文投稿していたが、そのリバイスなどを行い、出版まで到達した。さらに、YidCの細胞質領域の変異解析を進めた。特に、塩基性残基の数や分布が基質の膜挿入にどのような影響を与えるのかについて解析を行った。その結果、細胞質領域の塩基性の一般的な重要性が明らかになった。この重要性は、異なる基質においても共通であることを示唆する結果を得た。一方、塩基性残基の空間的配置の重要性は基質によって多様である事も示唆された。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Nature Communications
巻: 15 ページ: 1~16
10.1038/s41467-024-46762-2
10.1038/s41467-024-46761-3
Journal of Molecular Biology
巻: 435 ページ: 168172~168172
10.1016/j.jmb.2023.168172