研究課題/領域番号 |
21K06054
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
伴 匡人 久留米大学, 分子生命科学研究所, 講師 (00579667)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 膜融合 / GTPase / mitofusin / リポソーム / 試験管内再構成 |
研究実績の概要 |
細胞内のエネルギー生産工場として機能するミトコンドリアは、融合・分裂によりその形態を制御する動的な細胞小器官である。融合・分裂は形態のみならず、ミトコンドリアの多彩な機能の制御に必須の現象であるが、融合・分裂に中心的な役割を持つGTP加水分解タンパク質(GTPase)がどのように機能するのか?その詳細については不明な点が多く残されている。これまでに精製タンパク質と、人工脂質二重膜小胞(リポソーム)を用いた膜融合反応の試験内再構成により、ミトコンドリア内膜融合の分子機構解明に努めてきた。 本研究では哺乳動物のミトコンドリア外膜融合GTPase mitofusin(Mfn)の膜融合における膜結合・膜融合の駆動力、分子機構を明らかにするために、これまでの研究技術、知見を用いた詳細解析を行っている。令和3年度は、膜融合の試験管内再構成に適した精製タンパク質の大量調製方法、ミトコンドリア外膜のモデルリポソームへの組み込み方法の検討を行った。解析に必要なMfnは、ミトコンドリア膜タンパク質の発現に適したカイコ・バキュロウイルス発現により調製した。コドンの最適化、精製に使用するタグの配置を最適化することで、これまでよりも大量のMfnの発現に成功した。さらに解析を効率よく行うために、透析で除去できる界面活性剤の最適化を行い、カイコ脂肪体からの精製、透析によりMfnが組み込まれたリポソーム(Mfnプロテオリポソーム)の調製に成功した。透析により調製したMfnプロテオリポソームは、GTP加水分解に依存した膜融合活性を示したので、膜融合反応の解析を進めることができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膜融合の試験管内再構成に必須の膜融合活性を持つMfnを、これまで以上に大量に発現・精製する方法を確立できた。さらに、効率のよいMfnプロテオリポソームの調製法を確立し、従来よりも膜融合活性が高いMfnプロテオリポソームを得ることができたので、順調に研究計画が進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
透析によりMfnプロテオリポソームを調製できるようになったので、一度に様々な条件を検討することが可能となった。脂質膜の組成が、Mfnプロテオリポソームの膜融合活性に与える影響を見出しており、次年度は脂質膜がMfnの膜融合活性、集合状態、GTP加水分解活性に与える影響を詳細に解析し、膜結合・膜融合の駆動力、分子機構の解明に向けた研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
膜融合実験を本格に進めるために、次年度は界面活性剤や脂質などの消耗品等の購入が増えることが予想されるので、繰越を行った。
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