研究課題
本研究では、sPLA2による脂質代謝を基軸としたメタボリックシンドロームの制御機構を解明する。特に、(1)褐色脂肪細胞に基づくエネルギー代謝と(2)遠隔組織変容に基づく代謝調節に着目し、細胞間情報伝達酵素sPLA2群による代謝制御の新機軸を開拓する。(1)褐色脂肪細胞に基づくエネルギー代謝調節:脂肪組織特異的sPLA2-IIE欠損マウスは、全身性sPLA2-IIE欠損マウスと同様に熱産生が抑制された。このことから、脂肪組織のsPLA2-IIEが熱産生に影響を及ぼしていることが示唆された。リコンビナントsPLA2-IIEは脂肪細胞から分泌された細胞外小胞のリン脂質を分解してPUFAを遊離した。(2) 遠隔臓器変容に基づく代謝調節大腸から代謝への遠隔変容について:sPLA2-X欠損マウスに短鎖脂肪酸やω3脂肪酸を補充すると肥満の表現型が消失した。本研究期間全体を通じて、sPLA2-IIEが褐色脂肪細胞の活性化や白色脂肪細胞のベージュ化を促進する第二のThermogenic sPLA2であることを明らかにした。sPLA2-IIEは寒冷刺激時に脂肪組織から分泌される細胞外小胞のリン脂質を標的としてPUFAを動員し、褐色脂肪細胞の活性化や白色脂肪細胞のベージュ化を促進してエネルギー消費の亢進に寄与するものと想定している。また大腸上皮に発現しているsPLA2-Xが、腸内細菌叢の調節を介してω3 高度不飽和脂肪酸-短鎖脂肪酸の相互作用を制御し、それによって二次的に全身の代謝に影響を与えることを明らかとした 。
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Immunol Rev.
巻: 317 ページ: 42-70
10.1111/imr.13205.
https://lmmhs.m.u-tokyo.ac.jp/home_j.html