研究課題/領域番号 |
21K06074
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
竹松 弘 藤田医科大学, 医療科学部, 教授 (80324680)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | B細胞 / 胚中心 / BCR / 糖脂質 |
研究実績の概要 |
胚中心反応は獲得免疫の要となる免疫応答に重要な反応である。胚中心はリンパ節などの二次リンパ器官内に形成される微小領域であると定義され、外来抗原に応答してBリンパ球が活性化する場である。このため、胚中心反応なしでは高親和性の抗体を作れず、長期の免疫記憶も成立しない。胚中心は現在も免疫学研究の焦点である。高親和性の抗体応答や免疫記憶の成立には、胚中心におけるB細胞の活性化が重要である。これまで、胚中心B細胞の検出にはダイナミックな細胞表面糖鎖の変化が利用されてきた。しかしながら、これら糖鎖についての機能的な解析は少ない。本研究は、ヒト胚中心B細胞において発現が誘導される糖脂質CD77に注目して、抗原からのB細胞抗原受容体(BCR)シグナル伝達に対する制御活性を、その標的分子、作用機序などを明らかにすることで、解明していくものである。 応募者が樹立した糖脂質発現のみを変化させた細胞系を活用し、BCR共受容体でアダプターとして働くCD19糖タンパク質に着目して、BCR下流での細胞活性化とそこでおこるシグナル伝達経路の活性化のタイムコースを明らかにした。CD19以外の下流との比較することで、制御はシグナル伝達経路特異性を示すことが明らかになり、今後もその経路特異性がどのようなシステムで発揮されているかについて明らかにしてきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CD19のITAMモチーフのチロシンリン酸化制御が糖脂質CD77発現により、特異的に制御されていることが明らかになり、これは、本研究で主眼を置いていた、BCRシグナル伝達の強度を変化させる因子の同定に繋がる重要な知見である。CD77による制御のポイントは、シグナル伝達経路依存的である点であり、例えば、CD77の発現を変化させても、BLNKの下流におけるシグナル伝達には大きな変化はなかった。 この結果は、今後制御点が追跡するために有用な知見であるため、順調であると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
BCRシグナル伝達の制御点において、CD77がどのようにCD19活性化制御を行っているかは、不明なままである。この点が明らかにならないと全貌は明らかにならず、CD19に対する度のような影響がポイントとなっているのかについて焦点を当てて、引き続きモデル細胞を用いて研究を進めていく。 現状、大きな変更はない。
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次年度使用額が生じた理由 |
該当年度は、研究に当たり、比較的既にある試薬類などが使用することができ、当初の予定より少ない消化となった。次年度にたくさん回すことで、より効率的な研究の推進ができると考えられる。
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