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2023 年度 実施状況報告書

偏光一分子イメージングによるアクチン線維の張力受容機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06102
研究機関金沢工業大学

研究代表者

辰巳 仁史  金沢工業大学, バイオ・化学部, 教授 (20171720)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードメカノバイオロジー / アクチン線維 / 量子ドット
研究実績の概要

細胞には、重力などによる外力だけではなく、体内の骨格筋や平滑筋の動きに起因する様々な機械的(力)刺激が作用している。その結果、細胞は、これら力学刺激を受容して、細胞内骨格の形態変化など様々な応答を示す。生体膜や細胞骨格は外部からの力が働き、細胞の成長、分裂、形態が変化して、細胞応答を修飾する。最近では細胞に作用する機械的ストレスの大きな場所に誘引される中胚葉性幹細胞の存在も知られている。がん組織は硬いので、機械(力)刺激受容性幹細胞に抗がん作用を持たせると、がん組織に到達し、がん治療に応用する研究も始まっている(Liu et al., 2017)。神経細胞のシナプスに存在するアクチン線維はシナプス結合を介して外部から力を受けている。力を受けて張力が上昇したアクチン線維は安定し、シナプスの安定化に関与することも分かってきた(Paris et a., 2018)。このような研究領域はメカノバイオロジーと呼ばれ注目を集めている。このように力の受容は生命科学において重要な地位を締めているが、力の受容を行っている分子機構の多くは未解明の状態である。その最大の理由は、力刺激の感知機構、言い換えるとメカノセンサーの分子実体が多くの場合、同定されておらず、さらにメカノセンサーが細胞の構造や機能に影響をあたえる仕組みの多くが不明な点にある。本研究では量子ドットと偏光一分子(粒子)イメージング顕微鏡を使って、アクチン線維が備えている力の受容の分子的仕組みを解明する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

外部からの力刺激でアクチン線維の張力が高くなった時にはこのねじれのゆらぎは抑えられ、その結果コフィリンの結合場所は隠されコフィリンの結合が抑制される。本研究においてアクチン線維の張力上昇とアクチン線維のねじれとコフィリンの結合の間には関係があることを示すデータが得られた。この結果は重要で継続して研究を遂行することが研究の発展には重要であると考え、研究の継続を申請した。

今後の研究の推進方策

本研究ではアクチン線維一本をガラスカバーグラスに緩やかに固定し、アクチン線維のねじれを評価するためにアクチン線維を発光分子(ローダミン)で標識する。コフィリンのアクチン線維への結合をリアルタイムで観察するためにコフィリンを蛍光分子アレクサ633で標識する。アクチン線維に結合した磁気ビーズを電磁石により牽引することで、アクチン線維に張力を発生させる。蛍光分子からの蛍光の偏光の向きの分析のため方解石プリズムをCCDカメラの前にセットし、偏光の向きに従って画像を二組に分ける。コフィリンをアレクサ633で蛍光標識し、蛍光ローダミンでラベルしたアクチン線維に投与する。アクチンからの蛍光の偏光面が変化する例も観察予定である。この偏光面の変化はアクチン線維のねじれを示唆している。これらの実験方法を使うことで、アクチン線維の張力上昇により、アクチン線維のねじれの揺らぎが抑制され、コフィリンの結合の頻度が減少することを検証する。

次年度使用額が生じた理由

本研究においてアクチン線維の張力上昇とアクチン線維のねじれとコフィリンの結合の間には関係があることを示すデータが得られた。この結果は重要で継続して研究を遂行することが研究の発展には重要であると考え、研究の継続を申請した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Surface-dependent quenching of Qdot emission can be a new tool for high resolution measurements2023

    • 著者名/発表者名
      Okura Kaoru、Tatsumi Hitoshi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41598-023-28910-8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Mechanical Stress Decreases the Amplitude of Twisting and Bending Fluctuations of Actin Filaments2023

    • 著者名/発表者名
      Okura Kaoru、Matsumoto Tomoharu、Narita Akihiro、Tatsumi Hitoshi
    • 雑誌名

      Journal of Molecular Biology

      巻: 435 ページ: 168295~168295

    • DOI

      10.1016/j.jmb.2023.168295

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] The amplitude of twisting, bending of actin filaments affected by stress increases in the filament.2023

    • 著者名/発表者名
      Kaoru Okura, Hitoshi Tatsumi,
    • 学会等名
      International Symposium on Mechanobiology for Human Health: 8 years progress in The AMED-CREST/PRIME project on mechanobiology
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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