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2023 年度 実施状況報告書

C末端アミノ酸欠失変異体を用いて探るヘリカーゼの多量体形成と機能の相関関係

研究課題

研究課題/領域番号 21K06103
研究機関光産業創成大学院大学

研究代表者

横田 浩章  光産業創成大学院大学, 光産業創成研究科, 准教授 (90415547)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード1分子計測 / ナノバイオ / 核酸 / 酵素反応
研究実績の概要

多くのタンパク質で見られる多量体形成は、タンパク質の活性制御などに重要な役割を果たす。研究代表者は非六量体型スーパーファミリー1ヘリカーゼUvrD のC末端アミノ酸欠失変異体が、野生型に比べて多量体を形成しづらいことを明らかにした。一方、その多量体構造は報告されておらず、多量体を構成する個々のUvrDがどのような相互作用を経て、ATP加水分解エネルギーを使いDNA巻き戻しをしているのかは不明である。
そこで本研究ではUvrDのDNA巻き戻し機能に関わる多量体形成に重要なC末端アミノ酸に注目し、UvrDの多量体構造・DNA巻き戻し機能・ATPの結合解離(ATPase)の相関関係を蛍光1分子イメージングで明らかにする。そしてこれまで明らかにするのが困難だったタンパク質の多量体形成とそれによる機能発現の間のブラックボックスに迫ることを目指している。
研究代表者は、多量体を形成できないとされるC末端40アミノ酸欠損変異体(UvrDΔ40C)が定説に反し、二量体あるいは三量体でDNAを巻き戻していることを明らかにしている(Biophysical Journal (2020)、生物物理 (2021)、Biophysics and Physicobiology (2022))。
2023年度は、UvrD のC末端アミノ酸の多量体形成への役割をさらに理解するために、ヘリカーゼスーパーファミリーで保存されているサブドメイン外にあるC末端アミノ酸すべてを欠失させた変異体のDNA巻き戻し中のUvrDのDNA上の滞留時間の解析を行った。また、ビオチン標識したUvrD C末端アミノ酸欠失変異体を作製したほか、全反射照明蛍光顕微鏡法(TIRF)で用いている試料セルを改変し、ゼロモード導波路による蛍光1分子イメージングでも溶液貫流が可能な試料セルを構築した。そして、ゼロモード導波路による高濃度蛍光性ATP条件下の蛍光1分子イメージング、UvrD多量体構造の蛍光1分子イメージング、DNA巻き戻しの1塩基分解能観察に取り組んだ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ヘリカーゼスーパーファミリーで保存されているサブドメイン外にあるC末端アミノ酸すべてを欠失させた変異体のDNA巻き戻し過程の解析により、C末端アミノ酸の多量体形成の役割の理解を深めることができた。一方、溶液貫流を可能にしたゼロモード導波路観察系の構築に時間を要し、高濃度蛍光性ATP条件下の蛍光1分子イメージング、DNA巻き戻しの1塩基分解能観察は、やや遅れている。

今後の研究の推進方策

ヘリカーゼスーパーファミリーで保存されているサブドメイン外にあるC末端アミノ酸すべてを欠失させた変異体のDNA巻き戻し過程の蛍光1分子イメージングの解析とUvrD多量体構造の蛍光1分子イメージングを継続する。また、系の構築のため遅れをとっているゼロモード導波路による高濃度蛍光性ATP条件下の蛍光1分子イメージングとDNA巻き戻しの1塩基分解能観察については、作製したビオチン標識C末端アミノ酸欠損変異体へ対象を広げながら進める。

次年度使用額が生じた理由

当初計画に遅延が生じたため、補助事業期間を延長した。2023年度は観察系の構築に時間を要し、計画変更にともなって前年度までに準備していた試料を用いての研究が多くを占め、当初計画より消耗品の購入が少なかったため、次年度使用額が生じた。今後は研究計画にそって使用する。

備考

日本生物物理学会Biophysics and Physicobiology 第10回 Editors' Choice Awardを受賞(2023年6月)
対象論文 Yokota, H. Biophys. Physicobiol. 19, e190006_1-e190006_16 (2022). 招待総説

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 弱い生体分子間相互作用の蛍光1分子イメージング2024

    • 著者名/発表者名
      横田 浩章
    • 学会等名
      第19回バイオオプティクス研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Dynamics of DNA binding and unwinding by Escherichia coli UvrD lacking C-terminal amino acids2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki Yokota
    • 学会等名
      第61回日本生物物理学会年会
  • [学会発表] 大腸菌UvrDの構造をとらないC末端全領域欠損変異体のDNA結合・巻き戻しダイナミクス2023

    • 著者名/発表者名
      横田 浩章
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 招待講演
  • [備考]

    • URL

      https://www.gpi.ac.jp/research/bpxd/professor-15/

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公開日: 2024-12-25  

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