研究実績の概要 |
既存のリガンド結合予測法では無視されていた「水和」を顕に考慮することで、リガンド結合予測精度を向上させることを目指し、以下の研究を行った。(1)本研究課題の武器である「水和分布を予測する深層学習モデル」について、論文をほぼ完成させた。また、これに伴い、深層学習モデルをGitHubで公開することにし、その準備を整えた。(2)「水和分布を予測する深層学習モデル」の精度が悪い箇所を特定し、その箇所の精度を改善するように学習データを増やすことにより、深層学習モデルの精度を向上させることに成功した。(3)「水和分布を予測する深層学習モデル」を発展させ、水和熱力学量を高速で計算する深層学習モデルの研究に取り組んだ。水和自由エネルギーに関し、R2スコアが0.8程度の精度予測することに成功した。(4)単純流体モデルを用いて、分子性流体用積分方程式理論で得られる水和エントロピーを定量的に再現することに成功した(論文投稿中)。(5)単純流体の積分方程式理論と3D-RISM理論を用いて、 エネルギー表示法で得られた水和自由エネルギーの値(T. Yoshidome, T. Ekimoto, N. Matubayasi, Y. Harano, M. Kinoshita, and M. Ikeguchi, J. Chem. Phys., 142, 175101 (2015).)を定量的に再現する手法を開発した。(6)深層学習を用いてタンパク質立体構造を予測するAlphaFoldに関し、側鎖の精度を議論した。約500残基のタンパク質に対し、約20%の側鎖の2面角が大きくずれていることが分かった。
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