研究実績の概要 |
2021年度は研究実施計画の1つである「天然のSP11モデル構造からの改変による手法」に基づき、以前に立体構造予測を行ったハプロタイプS32, S36のSP11の予測構造に基づき、対応するSRK分子の結合界面を調査したところ、およそこの2つのSP11にはわずか4アミノ酸の違いによってSRKとの1対1結合が制御されていることを予見した。これを踏まえ、タンパク質モデリングソフトウェアパッケージRosettaを用いた計算機上でのアミノ酸変異を作成し、これらのアミノ酸を残り19種類のアミノ酸に置換したモデル構造とS32, S36との複合体モデル構造との間の結合自由エネルギー変化ΔGを計算によって見積もった。現在のところ、S36-SP11についてN22L, K57M, H59M, E60R変異がS32に対しても新たに結合できる可能性をもつ点変異として計算された。引き続き、複数ハプロタイプのSRKに結合できる人工的なSP11の開発を進めるために、共同研究者との実験による検証を進めることを検討する。 また、2021年7月頃に登場したAlphaFoldは非常に高い精度でアミノ酸配列から立体構造を予測するソフトウェアとして一躍有名になったが、このAlphaFoldを逆方向に利用して、望ましい構造をとるようにアミノ酸配列を設計する論文も(試験段階ではあるが)少しずつ報告されてきている。研究計画ではDirect coupling analysis(DCA)に基づく手法を記載していたが、これと合わせて、主鎖構造からのアミノ酸配列設計を引き続き検討する。
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