研究課題/領域番号 |
21K06132
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
原 雄一郎 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医学研究センター, 主席研究員 (70709708)
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研究分担者 |
吉沢 直子 (須賀田直子) 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医学研究センター, 主席研究員 (30344071)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 偽遺伝子化 / de novo gene / シスエレメント / 超並列レポーターアッセイ / 遺伝子レパートリー |
研究実績の概要 |
本年度は、公共データベースのゲノムアセンブリおよび次世代シーケンシングデータを用いて、類人猿のヒトに至る系統に生じたde novo geneと偽遺伝子を同定し、それらのプロモーター領域ならびにその祖先配列を推定することを計画した。 ヒトゲノムアセンブリならびにRNA-seqデータに基づくヒト転写産物カタログからORFを網羅的に抽出し、既存のタンパク質コード遺伝子にはオーバーラップしない新規ORFを同定した。これらから、Ribo-seqデータを用いて翻訳を確認できたORFをde novo geneとして選抜し、プロモーター配列の候補となる転写開始点をCAGE-seqデータを用いて探索した。また、類人猿と旧世界ザルのタンパク質コード遺伝子オーソログデータベースを構築し、ヒトに至る系統でCDSアノテーションを消失した遺伝子を偽遺伝子として同定した。これらの偽遺伝子のカニクイザルオーソログがもつプロモーター配列をCAGE-seqデータに基づき同定した。 さらに、ヒト遺伝子発現データベースGTExから、ホモで持つと発現がnullになると推定される変異アリルを探索し、変異アリルとオーバーラップするCAGE-seqのピークを対象遺伝子の「偽遺伝子化プロモーター」として同定した。 同定したプロモーター配列と類人猿・旧世界ザルのオーソログ配列をもとに、分子系統学的手法を用いてプロモーターの祖先配列を推定した。de novo gene、偽遺伝子がもつプロモーター活性の進化的変遷を同定するために、変異アリルを含む現生生物のプロモーター配列と推定された祖先配列を用いて超並列レポーターアッセイを行うためのオリゴヌクレオチドを設計した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画した、プロモーターを対象とした超並列レポーターアッセイを行うための配列解析を完了した。加えて、オリゴプールの設計と発注を済ませ、実験計画の詳細を詰めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
プロモーターを対象とした超並列レポーターアッセイは、オリゴプールの納品後計画通りに実験を進めていく。加えて、次年度はエンハンサーを対象とする超並列レポーターアッセイを準備する。CAGE-seq, HiC, ChIP-seq, HiChIPなどの公共データを用いて、de novo gene, 偽遺伝子のプロモーターと相互作用するエンハンサー領域を同定し、祖先配列を推定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年目の研究は公共データベースを用いた配列解析で現状の設備等で実行可能であったため、経費を節約できた。残額は超並列レポーターアッセイのプラスミド作成および次世代シーケンシングという高額な実験を行うための資金に充てる。
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