研究課題/領域番号 |
21K06136
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂野 聡美 大阪大学, 情報科学研究科, 特別研究員(RPD) (00513160)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大腸菌 / 遺伝子工学 / ゲノム編集 / CRISPR / 薬剤耐性 |
研究実績の概要 |
本研究は、自然突然変異を模した形で変異導入が可能なゲノム編集ツールTaget-AIDを用いた、ゲノムワイドスクリーニング法を確立し、その結果得られた微生物の生存システム等を詳細に解析することを目的とする。現在のところ、大腸菌の標的1遺伝子内には、ある程度効率よい変異導入が実現されている。そこで、本課題1年目では、このTarget-AIDを用いた薬剤耐性菌の変異個所探索の予備的実験を行った。 CRISPR-gRNAを導入した大腸菌に薬剤選択圧をかけ、表現型に関わる新たな変異個所を探索することができるかどうか、条件検討を行った。rifampicin耐性関連遺伝子rpoB、fluoroquinolone耐性関連遺伝子gyrAを選定し、MIC assayにより各薬剤の最適濃度を決定した。次に、標的配列20塩基をランダムに設計してプラスミド型CRISPR-gRNAを構築し、大腸菌に導入した。各薬剤の選択圧下における大腸菌を集菌し、プラスミド抽出後、gRNA部分を次世代シーケンサーで配列解読した。その結果、rifampicin耐性大腸菌からはrpoB以外の特異配列、nalidixic acid耐性大腸菌からはgyrA以外の特異配列が、それぞれ複数同定された。これらは大腸菌ゲノム上に100%マッチはせず、類似配列が推定されるのみであった。次に、プラスミド抽出した大腸菌の全ゲノム配列の解読を試みたところ、機知の関連遺伝子以外の変異箇所を複数同定した。そのうちのいくつかは、先述の特異配列に依存した変異導入であることが確認された。しかし、その配列を含めて再構築したCRISPR-gRNAを再び大腸菌に導入したが、薬剤耐性を獲得することはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの蔓延により、家族の濃厚接触や感染による自宅待機期間や、保育園登園自粛期間が長期にわたったため、実験を伴う研究を一時中断する必要があり、研究遂行スケジュールに遅延が生じた。しかし、当初計画していた実験によって、ある程度想定していた結果を得ることができたため、次年度以降も引き続き研究成果の進展に期待したい。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、Taget-AIDを用いた、ゲノムワイドスクリーニング法を確立するために、今年度と同様の手順でスクリーニング条件検討を行う。またその際に、別の遺伝子や、薬剤耐性だけでなく運動性・集合性など、他の表現型を用いたスクリーニング法に関しても順次検討したいと考えている。
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