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2021 年度 実施状況報告書

マルチクラスCRISPRによる多重・大規模かつ高精細なゲノム編集技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K06137
研究機関広島大学

研究代表者

佐久間 哲史  広島大学, 統合生命科学研究科(理), 准教授 (90711143)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードゲノム編集 / CRISPR-Cas / 遺伝子ノックイン
研究実績の概要

本研究では、異なるクラス・タイプのCRISPRシステムを組み合わせた新手法“マルチクラスCRISPR”によって、これまで実現困難であった多重・大規模かつ高精細なゲノム編集を可能にするシステムを確立することを目的としている。2021年度は、マルチクラスCRISPRに用いるための各クラス・タイプのCRISPRシステムにおける技術基盤の確立・改良を実施した。

クラス1システムにおいては、ゲノム編集を効率化・制御させるための因子集積のシステム開発を実施した。各種RNAアプタマーを付与したcrRNAのscaffoldを揃えつつ、それに結合するタンパク質を融合させた任意の因子を標的ゲノム領域に集積させるプラットフォームを構築し、機能性を実証した。更に、クラス2システムを用いて実証されてきた、タンパク質タグの利用によるより高度な集積についてもクラス1システムで動作し得ることを確認した。

クラス2システムにおいては、MMEJを利用した独自の遺伝子ノックイン技術であるPITCh法を、異なるタイプのシステムにも拡張するため、Cas12aを用いたPITCh法の技術基盤の確立を進めた。Cas12aでは、突出末端で切断されることやPAMの位置が異なることなどから、Cas9と同一の設計でノックインを実施することはできず、ノックイン設計の最適化が必要であったが、適切な設計を見出すことに成功し、PCRレベルおよび配列レベルで正確なノックインが実行できたことが確認された。更に、Cas9を用いたPITCh法によるノックインについても、効率化技術として2018年に確立したLoAD法の効果を更に上回るノックイン効率上昇システムの開発に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「研究実績の概要」欄に記載したように、最終目標であるマルチクラスCRISPRシステムのために必要となる各要素技術の開発・改良を進め、クラス1 CRISPRについてはシステムの高度化に必要なツールキットが整備できた。クラス2 CRISPRについては、タイプVに属するCas12aを用いたノックイン技術の基盤を確立すると共に、タイプIIに属するCas9を用いたノックインの更なる高度化を実現した。これらの要素技術は、マルチクラスCRISPRを確立するために必要不可欠であり、初年度の成果として十分な進展があったと判断できる。

今後の研究の推進方策

今後は、クラス1・クラス2の各要素技術を更に改良・進化させることで技術レベルの底上げを図ると共に、これらを組み合わせることで、ベクターのランダム挿入等の目的外産物を極限まで排し、多数の遺伝子座を同時に、高効率かつ確実に改変できるようなシステムの開発を目指す。また不要なゲノム配列の除去や複数の外来DNAドナーのドッキングなどの高度な操作を、シームレスかつ一塩基レベルで精密に規定した連結部を伴って実行するなど、精密さと広汎さを併せ持ち、かつ多重性、安全性、確実性に長けるこれまでにないゲノム編集法を確立することを試みる。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により学会がオンライン化されたため、旅費が不要になったことから、次年度使用額が生じた。2022年度には、多くの学会が現地開催となることから、当初の計画通り旅費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Gene manipulation in the Mucorales fungus Rhizopus oryzae using TALENs with exonuclease overexpression2022

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Tsuboi, Tetsushi Sakuma, Takashi Yamamoto, Hiroyuki Horiuchi, Fumikazu Takahashi, Kazuaki Igarashi, Hiroshi Hagihara, Yasushi Takimura
    • 雑誌名

      FEMS Microbiology Letters

      巻: 369 ページ: fnac010

    • DOI

      10.1093/femsle/fnac010

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Genome editing with removable TALEN vectors harboring a yeast centromere and autonomous replication sequence in oleaginous microalga2022

    • 著者名/発表者名
      Tomokazu Kurita, Masako Iwai, Keishi Moroi, Kumiko Okazaki, Seiji Nomura, Fumihiko Saito, Shinichiro Maeda, Akihide Takami, Atsushi Sakamoto, Hiroyuki Ohta, Tetsushi Sakuma, Takashi Yamamoto
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 12 ページ: 2480

    • DOI

      10.1038/s41598-022-06495-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Panel of human cell lines with human/mouse artificial chromosomes2022

    • 著者名/発表者名
      Narumi Uno, Shuta Takata, Shinya Komoto, Hitomaru Miyamoto, Yuji Nakayama, Mitsuhiko Osaki, Ryota Mayuzumi, Natsumi Miyazaki, Chiaki Hando, Satoshi Abe, Tetsushi Sakuma, Takashi Yamamoto, Teruhiko Suzuki, Yoshihiro Nakajima, Mitsuo Oshimura, Kazuma Tomizuka, Yasuhiro Kazuki
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 12 ページ: 3009

    • DOI

      10.1038/s41598-022-06814-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] TALEN-Mediated Gene Editing of slc24a5 (Solute Carrier Family 24, Member 5) in Kawakawa, Euthynnus affinis2021

    • 著者名/発表者名
      Dipak Pandey, Takahiro Matsubara, Taiju Saito, Yukinori Kazeto, Koichiro Gen, Tetsushi Sakuma, Takashi Yamamoto, Miyuki Mekuchi, Rie Goto
    • 雑誌名

      Journal of Marine Science and Engineering

      巻: 9 ページ: 1378

    • DOI

      10.3390/jmse9121378

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 培養細胞を用いたゲノム編集研究の最前線2021

    • 著者名/発表者名
      佐久間 哲史
    • 学会等名
      日本ゲノム編集学会 第6回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Recent advances in genome editing and beyond2021

    • 著者名/発表者名
      Tetsushi Sakuma
    • 学会等名
      14th International Symposium on Nanomedicine (ISNM2021)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ゲノム編集の最新動向と今後の展望2021

    • 著者名/発表者名
      佐久間 哲史
    • 学会等名
      第6回川島カンファレンス
    • 招待講演
  • [図書] 実験医学 2021年5月号 Vol.39 No.8 CRISPR最新ツールボックス2021

    • 著者名/発表者名
      山本 卓, 佐久間 哲史
    • 総ページ数
      137
    • 出版者
      羊土社
    • ISBN
      978-4-7581-2543-7
  • [備考] 広島大学 分子遺伝学研究室

    • URL

      https://smg.hiroshima-u.ac.jp/

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公開日: 2022-12-28  

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