研究課題/領域番号 |
21K06169
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田端 桂介 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 助教 (40569018)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Rubicon / 結合タンパク質 / siRNAスクリーニング / Myoferlin / 神経発達障害 / Rubicon変異体 / オートファジー |
研究実績の概要 |
細胞内分解機構であるオートファジーは、栄養・エネルギー確保の他、細胞内不要物・異物の除去を通じて、癌、生活習慣病、老化など様々な疾患や現象に関わることが知られている。そのオートファジーを制御する因子として、我々は2009年にRubiconを発見し、細胞内の機能解析およびRubiconの生理的役割を明らかにしてきた。しかしながら、肝心な問いであるRubiconがどのようにオートファジーを制御しているか未だよくわかっていない。既知の酵素活性を持たないRubiconの機能を解明するには、Rubiconが協調してはたらく因子の同定が必須であると考えられる。 2021年度には、質量分析により同定したRubicon結合タンパク質からオートファジーに関連する因子をsiRNAスクリーニングによって選別した。2022年度は、それらの候補からRubicon結合タンパク質として1回膜貫通領域を有するMyoferlinに着目した。Myoferlinは、カルシウム・リン脂質結合能があり、膜修復や細胞内膜輸送に関わることが知られているが、オートファジーへの関与は依然不明である。我々はMyoferlinがRubiconのC末端領域と結合することを明らかにした。さらにRubicon発現抑制はオートファジーを促進させるが、その効果はMyoferlinの発現抑制により消失することがわかった。このことは、RubiconはMyoferlinを介してオートファジーを制御していることを示唆している。 また、神経疾患・神経発達におけるRubiconの役割の解明を目指して、神経発達障害小児患者サンプルのゲノム解析を行ったところ、Rubicon遺伝子中に変異があることを発見した。変異を導入したRubicon変異体のプラスミドを作成し、現在機能解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、プロテオームとその後のsiRNAスクリーニングによって同定、選抜した候補遺伝子の中からMyoferlinに着目し、オートファジーにおける役割を調べた。Myoferlin-Rubiconによるオートファジー制御の分子機構をさらに明らかにするため、機能解析を現在進めている。 また2022年度は、神経発達障害小児患者サンプルのゲノム解析の結果、Rubicon遺伝子中に変異があることを発見した。現在、Rubicon変異体のプラスミドを作成しており、今後作成した変異体を野生型と比べて、Rubicon機能にどう影響するかを検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
Myoferlinのオートファジーにおける制御分子機構を明らかにするため、TRPML1との機能的な関連性に着目する。TRPML1は、リソソームに局在する主要な陽イオンチャネルであり、リソソームからのCa2+放出に関与することが知られている。まずは、Myoferlin-Rubicon複合体とTRPML1との結合や共局在を解析し、さらにオートファジー制御におけるこの複合体の重要性を検討する。 Rubiconの翻訳後修飾の重要性、および神経発達障害小児患者サンプルのゲノム解析の結果同定したRubicon変異体については、作成した変異体を野生型と比べて、オートファジーにおける修飾の重要性を検討する。
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