研究課題/領域番号 |
21K06171
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
梶保 博昭 神戸大学, 医学研究科, 講師 (70401221)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 小胞体 / ユビキチン |
研究実績の概要 |
飢餓状態の細胞は自らの脂質やタンパク質を分解して栄養供給や新陳代謝を行っている。特に小胞体の一部を選択的に分解する現象はERファジーと呼ばれている。飢餓状態から栄養状態が回復してERファジーが終結するためには、ERファジーに関わるタンパク質を速やかに分解する必要があるがその分子機構はわかっていない。 小胞体でのタンパク質の分解経路の一つにユビキチン-プロテアソーム系が知られている。近年、小胞体に局在するユビキチンリガーゼの一つがERファジーに必要であることが報告され、ERファジーがユビキチン化反応によって調節される可能性が示唆された。私はERファジーに関わるタンパク質がユビキチン化され分解されることで、ERファジーを速やかに終結させると考えた。本年度はER-ファジーに関わるタンパク質のユビキチン化反応について調べ、以下の結果を得た。 1)小胞体に局在するタンパク質で、ユビキチンリガーゼを持つことが報告されているlunaparkによりユビキチン化されるER-ファジーに関わる約63kDaの膜タンパク質(p63)のユビキチン化領域を同定した。 2)Lunaparkとp63が小胞体のチューブ構造上で共局在することを見出した。 このように本年度は、ユビキチン反応によりER-ファジーが終結する分子機構について当初の計画とおりの成果をあげることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ERファジーに関わるタンパク質p63が、小胞体に局在するユビキチンリガーゼ活性を持つタンパク質lunaparkによってユビキチン化される領域を見出した。また、lunaparkとp63が小胞体のチューブ構造上で共局在した。これらの結果より、小胞体においてlunaparkがp63をユビキチン化して分解することにより、ERファジーの終結反応を調節している可能性が示された。ユビキチン化反応によりERファジーが終結する分子機構を明らかにするという本研究課題の目的に対して、おおむね順調に研究が進展した。
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今後の研究の推進方策 |
1) p63のユビキチン化部位の同定;p63のユビキチン化領域に含まれるリジンをアルギニンに置換した変異体を作成し、ユビキチン化部位を決定する。 2) ERファジー終結時のp63 とlunaparkとの結合量の増加;p63とlunaparkとの結合を免疫沈降法により調べる。飢餓培地から血清培地に交換した直後に基質とユビキチンリガーゼとの結合量が増加するかを調べる。 3) ERファジー終結時のp63とlunaparkとの共局在性の増加;p63とlunaparkが小胞体のチューブ構造上で共局在することを見出したので、これらの共局在がERファジーの終結に伴い増加するかを調べる。COS-7細胞を飢餓培地で培養した後に血清培地で培養し、p63とlunaparkに対する抗体により免疫染色する。さらに、ERファジーの状態を観察するために、ERファジーにより形成されるオートファゴソームのマーカーである抗LC3B抗体によっても免疫染色する。 4)p63へのユビキチン化反応の阻害時におけるERファジーの終結異常;p63へのユビキチン化を抑制すると、p63が分解されないため栄養状態が回復されているにも関わらずERファジーが終結せずに持続するかを調べる。p63をノックダウンしたCOS-7細胞にp63の野生型またはユビキチン化部位のリジンをアルギニンに置換した変異体を発現させる。これらの細胞を飢餓培地で培養後、血清培地で培養する。抗LC3B抗体による免疫染色を行い、LC3B陽性のオートファゴソームの観察によりERファジーの状態を調べ、変異体を発現する細胞では血清培地で培養し続けてもオートファゴソームが観察されるかを調べる。
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