• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

受精によって解除される卵自殺プログラム機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06185
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

千葉 和義  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (70222130)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードヒトデ / 卵母細胞 / アポトーシス / 受精 / caspase-3/9 / Apaf-1 / 電子顕微鏡 / 自己切断
研究実績の概要

本年度の研究によって、大腸菌リコンビナントCARDを用いて、クライオ顕微鏡観察によってCARDフィラメント構造が明らかになった。哺乳類における他のcaspaseにおけるCARDフィラメントと同様に、I,II,IIIの結合面を持っていることも明らかになった。
このフィラメントが真にアポトーシスにおいて形成されていることを確かめるために、CARDを含む全長caspase-3/9のリコンビナントタンパク質を合成して、フィラメント形成が起こるかどうかを調べている。その研究過程で、活性型caspase-3/9では自己切断によって、タンパク質を安定的に維持できない問題が生じた。そこで、活性中心のアミノ酸を突然変異させたcaspase-3/9を作成した。大腸菌の中で発現すると、フォールディングがしっかりと起きないことが危惧されたので、小麦胚芽発現系を用いて合成している。現在、ネガティブ染色法で電子顕微鏡観察を行い、フィラメント形成が起こっているかどうかを調べている。
さらに、切断前の不活性型caspase-3/9が重合caspase-3/9 CARDと結合し、活性型となることを証明するために、自己切断部位の突然変異型caspase-3/9を作成した。それが、重合caspase-3/9 CARDと相互作用するか、そして活性化するかどうかを、低分子性の蛍光基質を用いて確認したところ、CARDによって活性が上昇することを検出できた。したがって、切断前の不活性型caspase-3/9がCARDフィラメントによって活性型に変化することが、確かめられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度までの目標は完全に実現できており、順調に進んでいる。さらに、本年度の研究過程で、caspase-3/9全長においてもフィラメント形成していることを証明する必要があると考えられ、現在、その実験を行っている。また今後、CARDとプロテアーゼ部分を連結しているスペーサー領域に、分子内FRETセンサーを導入する実験を開始する。すなわち、CFPまたはYFPを持つ2種類のcaspase-3/9を作成し、混合して用い、同種CARDが重合すればFRETが起こることを検出する。

今後の研究の推進方策

哺乳類caspase-9はApaf-1とそれぞれのCARD-CARD結合によって、リクルートされると考えられていたが、アポトソーム上では7量体のcaspase-9には7分子のCARDが存在するのに、4分子程度しかcaspase-9が観測されないことが謎となっている。それに加えて、いったん形成された異種CARD-CARD結合がどのように乖離して、別のcaspase-9分子がリクルートされるのかについては諸説あり、確定していない。本研究では、アポトソーム上の異種CARD-CARD結合が同種CARD-CARD結合を促す重合核となり、異種CARD-CARD結合は乖離しないと考えている。すなわち、異種CARD-CARD結合は強固であるが、同種CARD-CARD結合構造は比較的弱く、不活性型caspase-3/9をフィラメント構造にリクルートするとcaspase-3/9は活性型となって解離しやすくなり、このサイクルで不活性型caspase-3/9は活性化され続ける、と考えている。もしくは、本年度の研究から全長caspase-3/9においても安定的にフィラメントが形成されることが確かめられるならば、同種CARDも強固な結合を起こし、それによって安定的な二量体caspase-3/9が形成され、活性化が起こるとも考えられる。いずれにせよ、同種CARD-CARD結合機構が、進化的に、いつ失われて、哺乳類型に変化したのかを明らかにすることも重要である。そこで、まずはカイメン動物においてCARDフィラメントを形成しているかについて、実験を開始している。さらに、刺胞動物、脊索動物などにおいても、CARDが重合するかどうかについて、今後明らかにしてゆく必要がある。

次年度使用額が生じた理由

クライオ顕微鏡による観察と小麦胚芽を用いたリコンビナントタンパク質合成において、一部の消耗品を共同研究者にご負担いただいたために、若干の節約が可能になった。3年目にはFRETセンサー作成に多額の消耗品費が必要になると予想されるので、上記の節約分をその実験に充当する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ヒトデ卵母細胞と胚における母性mRNAの非A塩基修飾2022

    • 著者名/発表者名
      中元 咲希・ 片桐 未琴・越智 洋絵・千葉 和義
    • 学会等名
      日本分子生物学会
  • [学会発表] ヒトデ卵母細胞における卵内 Akt の局在2022

    • 著者名/発表者名
      山崎 結那,佐々木 純子, 佐々木 雄彦, 千葉 和義
    • 学会等名
      日本動物学会第93回大会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi