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2023 年度 実施状況報告書

受精によって解除される卵自殺プログラム機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06185
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

千葉 和義  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (70222130)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードヒトデ / 卵 / アポトーシス / 受精 / カスパーゼ / CARD
研究実績の概要

クライオ電子顕微鏡による重合CARD観察から推定されたフィラメントの構造の正しさを確認するために、フィラメント形成に重要であると考えられる分子間コンタクト面(Type I, II, III)におけるアミノ酸を突然変異させたところ、フィラメントが形成されないことを、電子顕微鏡観察及び分子量で確認した。さらにこれら突然変異体CARDによるcaspase-3/9の活性化能が失われることを確認し、これら3つの証拠から、フィラメント構造を成立させている分子間のアミノ酸対を明らかにした。それぞれのTypeにおける突然変異は、1つだけでもフィラメント形成能を失ったので、3つの重合面はすべてフィラメント形成に必要であることが確かめられた。また、CARDフィラメント形成後に、どのようにcaspase-3/9のプロテアーゼ活性が上昇するのかについて、自己切断と活性化の相関についても検討した。すなわち、自己切断部位のアミノ酸を変異させたcaspase-3/9について、プロテアーゼ活性変化が起こるかどうかを確認したところ、切断によって著しい上昇が起きることが確かめられた。caspase-3/9全長におけるフィラメント形成についても、小麦胚芽を用いたリコンビナント発現系を活用して作成し、電子顕微鏡にて確認した。すなわち、沈殿部分を、ネガティブ染色したところ、フィラメント形成されていることが確認できた。さらにカイメンのCARDが重合し、フィラメントを形成することも確認できた。現在、これらの成果を原著論文として発表するために準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究過程で、自己切断によって、基質認識能が変化する可能性が示唆された。すなわち、自己切断されたものと、切断できない突然変異体において、基質特異性が変化している可能性を示唆する結果が得られた。この結果が正しいことを、測定条件を変えるなどして、さらに確認しており、この結果を原著論文に入れ込んで発表する予定である。この、想定外の結果が得られたために、原著論文の投稿が遅れてしまったが、全般的には予定されていた実験を終了している。

今後の研究の推進方策

CARDとプロテアーゼ部分を連結しているスペーサー領域に、分子内FRETセンサーを導入し、CFPまたはYFPを持つ2種類のcaspase-3/9を作成し、混合して用い、同種CARDが重合すればFRETが起こることで判定できる実験系を確立する。これを用いてin vivoで、卵細胞のどこでcaspase-3/9の重合・活性化が起こるかを観測する。さらに同種CARD-CARD結合が、進化的に、いつ失われて、哺乳類型に変化したのかを明らかにするために、刺胞動物、脊索動物などにおいても、重合するかどうかについても、今後明らかにしてゆく。

次年度使用額が生じた理由

すでに記載したように、Caspase-3/9の基質認識能が変化する可能性が示唆された。これは予想外の結果であり、これが本当なら、他のカスパーゼ研究に与えるインパクトが大きい結果である。したがって、この結果が正しいことを、測定条件を変えるなどして、さらに確認しており、この結果を原著論文に入れ込んで発表する予定である。この、想定外の結果が得られえたために、原著論文の投稿が遅れてしまったが、現在のところ順調に研究は進展しており、次年度での研究論文投稿と採択は、実現できる見通しである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [国際共同研究] Stazione Zoologica Anton Dohrn(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      Stazione Zoologica Anton Dohrn
  • [雑誌論文] Dithiothreitol Affects the Fertilization Response in Immature and Maturing Starfish Oocytes.2023

    • 著者名/発表者名
      Limatola, N., Chun, J. T., Chiba, K., and Santella, L.
    • 雑誌名

      Biomolecules.

      巻: 13 ページ: 1659

    • DOI

      10.3390/biom13111659

    • 査読あり

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公開日: 2024-12-25  

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