研究課題/領域番号 |
21K06194
|
研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所) |
研究代表者 |
上田 陽子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 病因病態部門, 流動研究員 (50755808)
|
研究分担者 |
持田 京子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 病因病態部門, 流動研究員 (00834417)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | マウス / 細胞外基質 / ECM / 原子間力顕微鏡 |
研究実績の概要 |
マウス初期胚では、子宮へ着床直後の球形の胚から細長い卵型(卵円筒形)へと変化する。この形態変化は培養下では再現できず、子宮内への着床直後の形態変化には、雌親の子宮組織が重要であることを意味する。 着床直後の胚は、胚体外膜(ライヘルト膜)の中で成長し、ライヘルト膜が作る胚の成長空間が卵円筒形成に必要である(Ueda et al. 2020)。だが、この成長空間の形成機構は明らかではない。そこで本申請課題では、卵円筒形成に必要な成長空間がどのように形作られるかを解明する。 本研究課題では、ライヘルト膜が作り出す成長空間の形成について、①ライヘルト膜自身の自律的形成機構による成長空間の形成、②ライヘルト膜に包まれた胚を取り囲む子宮内膜組織の力学的な要因による成長空間の形成、これら二つの仮説をたてた。 初年度となる今年度は、①について、ライヘルト膜の構成成分である細胞外マトリクスの分布や分解酵素の活性について解析を行った。具体的には、ライヘルト膜の構成分子である各種細胞外マトリクス(コラーゲン・ラミニンなど)分子の発現・局在をmRNAレベル(in situ hybridization法)、タンパク質レベル(免疫染色法)により解析した。その結果、胚の伸長方向の片側において、細胞外マトリクスの分解酵素の活性が強くみられた。このことから胚の伸長方向は、細胞外マトリクスが分解されることで局所的に柔らかくなった方向と関係性があるのではないかと示唆された。今後は胚周囲の子宮組織の硬さを計測する予定である。 また、ライヘルト膜の構成成分である細胞外基質のうち主要なタンパクであるラミニンに蛍光タンパクを融合させたライブイメージングマウスをCRISPR-Cas9システムにより作製することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
来年度の実験計画としていた細胞外マトリクスタンパクのライブイメージングマウスの作製に成功し、現在飼育維持できており、基礎的な実験ができつつあるため。
|
今後の研究の推進方策 |
ライヘルト膜の構成成分である細胞外基質のうち主要なタンパクであるラミニンに蛍光タンパクを融合させたライブイメージングマウスを用いて、ライヘルト膜の形成過程におけるラミニンの挙動を解析し、ライヘルト膜自身が自律的に伸長しているのか、周囲組織によって形作られるているのかを明らかにしていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初、購入予定だったガス圧力細胞刺激装置が、別の実験で主にしようすることとなり、研究室の別予算で購入したため。
|