研究課題/領域番号 |
21K06197
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
島田 裕子 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 助教 (30722699)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ショウジョウバエ / 栄養 / ステロイドホルモン / コラゾニン / オクトパミン / 早熟蛹化 |
研究実績の概要 |
本研究は、成長から成熟への変遷を司る神経内分泌機構を明らかにする目的で、ショウジョウバエ幼虫のコラゾニン産生神経(以下、Crz 神経)の活動を制御するオクトパミン産生神経(以下、OA 神経)を同定することを目指す。また、Crz 神経が成長を抑制し、成熟への舵切りを誘導する過程で、他の神経群との連携プレーがあることを、神経特異的RNAiによる機能解析や single cell RNA seq 解析によって明らかにする。本研究により、十分に栄養を蓄えた個体において、成長から成熟への舵切りスイッチを担う神経経路の全貌を掴む。本研究で着目するコラゾニン(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)、インスリン様ペプチド(インスリン)、アラトスタチンA(キスペプチン)は、脊椎動物まで進化的に保存された分子であり、成熟を司る普遍的な神経内分泌機構の解明に寄与する。 2021年度においては、候補となるOA神経のサブタイプを、既存のコネクトームデータベースから探索した。また、発育から成熟へのスイッチに必要な栄養量を定量する目的で、3齢中期の幼虫を飢餓条件に起き、蛹化するタイミングの測定を行った。餌条件よりも飢餓条件の方が、蛹化のタイミングが早まることがわかったので、飢餓条件におけるエクジステロイド生合成酵素遺伝子群の発現を調べたところ、活性型エクジステロイドの変換に関わる酵素 shade の遺伝子発現が有意に上昇することを見出した。この結果から、発育から成熟へのスイッチにおいて、栄養条件に応じて発育が促進されるだけではなく、飢餓条件が成熟を早めるメカニズムがあることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コラゾニン神経を上流で制御するオクトパミン神経がまだ同定できておらず、 適切な標識系統を特定するに至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続いて、コラゾニン神経を支配するオクトパミン神経の探索を行う。 また、飢餓条件においた個体の早熟蛹化の表現型が、shade のノックダウンによって抑制されるかどうかを調べる。
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