研究課題/領域番号 |
21K06206
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
杉山 由樹 沖縄科学技術大学院大学, 神経発生ユニット, スタッフサイエンティスト (70438125)
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研究分担者 |
中澤 洋介 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 講師 (60411708)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 水晶体 / 形態形成 / 基底膜 / 力学的相互作用 / 細胞膜脂質 / 弾性力 / 老視 / 球形組織 |
研究実績の概要 |
水晶体が発生の過程でどのようなメカニズムで球状に形成されていくのか知ることは、再生医学の観点からも重要である。水晶体は主に同心円状に並ぶ水晶体線維細胞の層と、それらを包む水晶体嚢と呼ばれる基底膜から構成されている。水晶体嚢は強靱な膜であり、弾力性のある水晶体線維細胞を加圧して包んでいる可能性がある。本研究では、この水晶体嚢と水晶体線維細胞間での力学的相互作用が、どのように水晶体の球形の形成と維持に関わっているのか、マウス水晶体を用いて解析した。我々は水晶体嚢を除去し加圧を解放すると、線維細胞層は均一に拡張するのではなく、特定方向により大きく膨張することを発見した。このことから水晶体嚢による加圧は一様ではなく、水晶体の特定の領域でより強く圧力がかかっていることが示唆された。実際に原子間力顕微鏡で水晶体表面の弾性力を測定すると、領域間での違いが観察された。これらの結果から、水晶体嚢からの加圧の程度が領域により異なるために、哺乳類の水晶体は真円の球体ではなく、赤道方向の直径が前極-後極軸よりも長い押しつぶされた形(いわゆるレンズの形)になることが示唆された。よって水晶体嚢と線維細胞間の力学的相互作用により、水晶体各領域の曲率が調整されていると考えられる。さらに我々は、水晶体線維細胞の弾性力の生成に細胞膜脂質が関与していることを見いだした。今後は細胞膜脂質の合成を阻害した水晶体を用いて、それがどのように水晶体全体の形や硬さに影響するか解析していく。水晶体の硬さは、加齢による硬化が原因の老視(老眼)と深く関わっている。よって細胞膜脂質と水晶体硬化の関連を明らかにすることは、老視の治療方法の開発に向けても重要である。
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