研究課題
MUS受容体型キナーゼは気孔系譜において孔辺母細胞分裂前に発現し、分裂面排他的に局在することで孔辺細胞の極性確立に働くと推察されている。本研究課題は、MUS受容体型キナーゼ信号伝達系を構成する因子の探索を行い、信号伝達の分子機構を解明しようとするものである。植物の情報伝達に関わるロイシンリッチリピート(LRR)受容体型キナーゼが他のLRR受容体タンパク質と複合体を形成して働く例が知られているため、シロイヌナズナLRR受容体タンパク質遺伝子について、プロモーター:レポーターを用いた半網羅的発現解析を行い、MUS受容体型キナーゼが働く(発現する)気孔系譜で発現を示す遺伝子の探索を行った。その結果、AtExLRR1、AtExLRR3、AtExLRR9と名付けたLRR受容体タンパク質遺伝子および同じくLRR受容体タンパク質遺伝子であるAT2G19780が気孔系譜で発現していることをあきらかにして学術誌に公表した。AtExLRR1とAtExLRR3は根端部でも発現が観察された。MUS受容体型キナーゼも根端部で発現しているため、これら LRR受容体タンパク質がMUS受容体型キナーゼと協調して機能している可能性が示された。AtExLRR1の単独遺伝子変異株では気孔に野生株との相違は観察されなかっため、今後他のLRR受容体タンパク質やMUS受容体型キナーゼ遺伝子との多重破壊株を作製して解析を進めることが必要と考えられた。またMUSと同じクレードに属するLRR受容体型キナーゼ遺伝子の発現解析を進めた。その結果、孔辺細胞で発現するものは見出されなかった。根端で発現する遺伝子は見出され、根端部でMUS受容体型キナーゼと協調的に機能している可能性が示された。また研究を進めるツールとして新たなベクターシステムの開発も行った。
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Soil Science and Plant Nutrition
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