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2022 年度 実施状況報告書

植物の発生分化における核小体とAS2/LOBファミリーの役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06218
研究機関中部大学

研究代表者

町田 千代子  中部大学, 応用生物学部, 特定教授 (70314060)

研究分担者 小島 晶子  中部大学, 応用生物学部, 准教授 (10340209)
町田 泰則  名古屋大学, 理学研究科, 名誉教授 (80175596)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードエピジェネティック制御 / 核小体 / 葉の発生分化 / AS2/LOB family / AS2/LOBドメイン / シロイヌナズナ
研究実績の概要

シロイヌナズナの葉の表裏軸形成の鍵因子であるAS2は、植物に固有のAS2/LOBドメインを持つAS2/LOB familyのメンバーであり、最も研究が進んでいる因子である。近年、AS2/LOB familyのメンバーの研究が進み、発生分化や環境応答、植物ホルモン制御等の多様な機能との関連が報告され遺伝子発現制御に関与することが示唆されているものの分子機能は不明な点が多い。AS2は核小体周縁部内側に2個の顆粒として検出され、NOR4を含むクロモセンターと部分的に共局在する(AS2 bodyと命名)。また、AS2が関わる葉の表裏軸形成には核小体機能と密接な関連を持つ多くの因子が関わる。そこで、本研究では、AS2 modifier として同定され、核小体局在タンパク質であるNUCLEOLIN1(NUC1)、RNA HELICASE10 (RH10) 、ROOT-INITIATION-DEFECTIVE2 (RID2)をコードする遺伝子の変異体におけるAS2 bodyの形状を調べた。その結果、nuc1変異体では、多くのAS2 body が、核小体周縁部に検出され、クロモセンターと共局在しない顆粒も認められた。rh10変異体とrid2変異体では、多くのAS2 body が、核小体内部に検出された。nuc1変異体の核小体の内部構造は崩壊していること、rh10, rid2変異体の核小体は大きくなっていることがわかっている。これらの結果は、AS2 body形成または維持には核小体の正常な構造が必要であり、特に、核小体周縁部の構造が重要である事がを示唆している。近年、核小体周縁部は、遺伝子サイレンシングの場であることがわかって来た。核小体周縁部でAS2-AS1 複合体による葉形成における裏側因子のエピジェネティックな抑制制御が行われている可能性が考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度は植物の発生分化における核小体とAS2の役割を解明するために、核小体タンパク質をコードする複数の遺伝子の変異体におけるAS2 body 形成を調べた。AS2 bodyの形成には核小体の構造と機能が正常に保たれている事が必要であり、核小体周縁部がエピジェネティックな制御に重要な役割をはたしている可能性が示唆された。さらに、AS2と45S rDNAリピートとの関連性について,現在研究を進めている。DNAメチル化解析についても、先進ゲノム支援を受けてEM-seqのデータが得られており、解析が進んでいる。申請書で提案した第二の実験についてはすでに結果が得られており、現在、これらの結果について論文投稿する予定であり、研究は、概ね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

申請書で提案した実験について概ね結果が得られていることから、研究は、順調に進展していると言える。AS2は核小体周縁部内側に2個の顆粒として検出され、NOR4を含むクロモセンターと部分的に共局在する(AS2 bodyと命名)。このことから、AS2が45S rDNAと相互作用する可能性が考えられる事から、第一に、AS2と45S rDNAリピートとの相互作用とETTのExon 1 のCGCCGC/GCGGCG配列への結合との関連性について、今後明らかにする必要がある。第二に、AS2によるエピジェネティックな抑制制御機構を明らかにするために、as2変異体、及び、核小体局在タンパク質の遺伝子の変異体におけるDNAのメチル化レベルについて解析を行う。近年、動物細胞では核小体周縁部は、遺伝子サイレンシングの場であることがわかって来た。シロイヌナズナにおいては、核小体周縁部でAS2-AS1 複合体による裏側因子のエピジェネティックな抑制制御が行われ、細胞分裂を介しても、このような抑制状態を保っているのかもしれない。これらの結果を総合して、核小体を中心とした動物とは異なる植物の生存戦略の根幹に関わるメカニズムに迫る。

次年度使用額が生じた理由

投稿準備中の論文作成が予定よりも遅れたため、英文校閲料が次年度使用額となった。2022(R4)年度には、英文校閲料と論文投稿料として使用予定である。学会発表のための出張旅費が予定より小額となったため(ポスター発表がWEBとなったため)、次年度使用額となった。2022年度の国際学会(ICAR参加6月)で発表予定であり、そのための出張旅費として使用予定である。2023(R5)年度には、予定どおり物品費(消耗品)、旅費、人件費・謝金、その他(論文投稿料)として使用予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 学会発表 (7件) 備考 (3件)

  • [学会発表] ウイルス病原性遺伝子を利用した葉形成に関るAYSYMMETRIC-LEAVES2 遺伝子の機能解明2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木崇紀・岩川秀和・安藤沙友里・小島晶子・町田千代子・笹部美智子・栗原大輔・東山哲也・町田泰則
    • 学会等名
      第64回日本植物生理学会年会 宮城県仙台市(ポスター発表)
  • [学会発表] シロイヌナズナの葉の発生分化に関わるAS2と核小体タンパク質によるDNAメチル化維持機能の解明2023

    • 著者名/発表者名
      小島晶子・岩川秀和・日比野哲紀・高橋広夫・安藤沙友里・笹部美知子・伊藤正樹・町田泰則・町田千代子
    • 学会等名
      第64回日本植物生理学会年会 宮城県仙台市(ポスター発表)
  • [学会発表] 葉の形成に関わるAS2遺伝子およびAS2/LOBファミリーの起源をゲノムデータベースから探る2022

    • 著者名/発表者名
      岩川秀和・安藤沙友里・小島晶子・笹部美知子・伊藤正樹・町田泰則・町田千代子
    • 学会等名
      日本植物学会第86回大会 京都府京都市(口答発表)
  • [学会発表] ゼニゴケのclass II AS2 ファミリー遺伝子の解析2022

    • 著者名/発表者名
      小島晶子・西浜竜一・石田咲子・安藤沙友里・河内孝之・町田千代子・町田泰則
    • 学会等名
      日本植物学会第86回大会 京都府京都市(口答発表)
  • [学会発表] 葉の向背軸分化に関わる AS2のAS2/LOBサブドメインの分子的機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      安藤沙友里・野元美佳・岩川秀和・Simon Vial-Pradel1・多田安臣・山本興太朗・町田泰則・小島晶子・町田千代子
    • 学会等名
      日本植物学会第86回大会 京都府京都市(口答発表)
  • [学会発表] 植物のCxxC-type zinc fingerタンパク質AS2の分子的機能の解析2022

    • 著者名/発表者名
      安藤沙友里・野元 美佳・岩川秀和・Vial-Pradel Simon・多田安臣・山本興太朗・町田泰則・小島晶子・町田千代子
    • 学会等名
      第45回分子生物学会 千葉県千葉市(ポスター発表)
  • [学会発表] AS2 bodyが関わる葉の発生分化における核小体の新しい機能2022

    • 著者名/発表者名
      町田千代子・安藤沙友里・岩川秀和・栗原大輔・東山哲也・笹部美知子・小島晶子・町田泰則
    • 学会等名
      第45回分子生物学会 千葉県千葉市(ポスター発表)
  • [備考] 中部大学応用生物学部応用生物化学科 町田千代子研究室

    • URL

      http://www3.chubu.ac.jp/faculty/machida_chiyoko/

  • [備考] 中部大学応用生物学部環境生物科学科 小島晶子研究室

    • URL

      https://www3.chubu.ac.jp/faculty/kojima_shoko/

  • [備考] 名古屋大学大学院 理学研究科 生命理学専攻 町田泰則研究室

    • URL

      https://www.bio.nagoya-u.ac.jp/~yas/dmcb/indexjp.html

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公開日: 2023-12-25  

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