植物にとって陸上は乾燥、UV、強光などの環境ストレスに曝される過酷な環境である。そのため、淡水性緑藻から陸上植物への進化の際には光防御機構を獲得する必要があった。その防御機構の制御を司る遺伝子がPsbSである。PsbSは緑藻と陸上植物で機能や役割が異なると報告されているが、どの時点から変わったのかは不明である。本研究では、陸上植物の祖先のストレプト藻類のPsbS遺伝子をシロイヌナズナに導入した結果、そのPsbSが陸上植物と同様に機能することを見出した。興味深いことに、緑藻のPsbSの安定性は顕著に低かったことから、安定性の向上が陸上植物への進化の鍵だったのだろう。
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