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2022 年度 実施状況報告書

植物cAMPシグナル伝達系の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06236
研究機関立命館大学

研究代表者

笠原 賢洋  立命館大学, 生命科学部, 教授 (70361748)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード植物cAMPシグナル伝達機構 / cAMP / cAMP合成酵素 / cAMP分解酵素 / CAPE / cAMPエフェクター / cAMP結合タンパク質 / 植物cAMP
研究実績の概要

細胞内外からの物理的・化学的シグナルは、各々特異的な受容体を刺激し、細胞内シグナル分子であるセカンドメッセンジャーやリン酸化などを介して細胞内で伝達され、最終的に細胞運動や代謝変化など様々な生理反応を引き起こす。cAMPは代表的なセカンドメッセンジャーであり、様々な生物においてシグナル分子としての機能が明らかにされている。本研究は、植物から発見したcAMP合成・分解酵素(CAPE)を起点とする精子べん毛運動調節機構に着目し、ゼニゴケのゲノム情報と遺伝子組換え技術を利用して植物cAMPシグナル伝達の分子機構を明らかにすることを目指すものである。本年度は、ゼニゴケゲノムから見つかった、N末端側とC末端側の二カ所にcAMP結合ドメインを有する新奇タンパク質 (cyclic nucleotide receptor with multi-CNBDs: CRMC) を中心に解析を行った。CRMCは他のコケ植物であるツノゴケやヒメツリガネゴケ、シダ植物であるイヌカタヒバやホウライシダのゲノムに存在したが、種子植物からは見つからなかった。一方、動物など他の生物群からもみつからず、植物特有のcAMP結合タンパク質と予想された。CRMC遺伝子上の二カ所にgRNAを設計してゲノム編集を試みたところ、片方のgRNAのみで編集が起こり、crmc変異株を得ることができた。このcrmc変異株は、栄養成長、生殖成長のいずれの時期にも目立った形態の変化や成長速度に違いはなかった。精子の遊泳を解析したところ、野生株とくらべて遊泳速度に顕著な差はなかったが、遊泳方向の転換頻度がやや高く、精子遊泳において何らかのはたらきをもつことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

crmc遺伝子変異株を得られ、その解析から精子遊泳への関与が示唆された。植物cAMPシグナル機構におけるcAMPレセプター候補が見つかり、残り期間において研究の発展が見込まれるため。

今後の研究の推進方策

新たなgRNAによるcrmc遺伝子変異株を取得し、精子遊泳に関する表現型がオフターゲットによるものでないことを確認し、CRMCのはたらきによることを確定する。GFP-CRMC発現株を構築して細胞内局在(特に、精子において)を調べ、CRMCの分子機能をつかむ。本年度までにCRMCのcAMP結合ドメインを大腸菌で発現し、組換えタンパク質を用いたcAMP結合能の解析を試みた。しかし、解析可能な良質なタンパク質が得られなかったため、CRMC全長を用いるなど発現条件を検討し、cAMP受容体としての実体をつかむ。

次年度使用額が生じた理由

cAMP量測定試薬が高額であるため、測定に必要な費用を持ち越した。今年度は、cAMP量測定試薬や分子生物学実験試薬の購入費用、論文投稿費等の成果公表に必要は費用に当てることを計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] ゼニゴケ精子におけるcAMP合成・分解酵素遺伝子CAPEの機能2023

    • 著者名/発表者名
      山本千愛、高橋文雄、山田和正、吉川伸哉、末次憲之、笠原賢洋
    • 学会等名
      第64回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] 精子を作る植物に保存されたcAMP合成・分解酵素CAPEとその役割2022

    • 著者名/発表者名
      笠原賢洋
    • 学会等名
      第8回生殖若手の会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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