研究課題/領域番号 |
21K06241
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
荻原 克益 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (00422006)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 卵巣 / 濾胞選択 / エストラジオール / 閉鎖濾胞 / アクチビン / アポトーシス |
研究実績の概要 |
マウス卵巣には成長を開始する前の原始濾胞が多数存在する。あるホルモンの刺激によりいくつかの原始濾胞が成長を開始するが、大部分はその途中でアポトーシスにより死滅し、生き残った濾胞のみがさらに成長し排卵へと至る。この過程は「濾胞選択」と呼ばれ、本研究ではこの分子機構の解明を目指して研究を進めている。人工的に排卵を誘導する際、ホルモン処理(PMSGもしくはeCG/hCG等)により20-30個程度の卵が排卵されるが、ある特殊なホルモン試薬を用いることにより100個程度の排卵が起こることから、このホルモン試薬が濾胞選択を抑制していると考え、現在はこのホルモンの作用機序の解明に取り組んでいる。これまでの研究から、この試薬により誘導されたアクチビンがエストラジオールの産生、分泌を誘導し、増加したエストラジオールによりアポトーシスが抑制されるという仮説を立てた。今回は、エストラジオールがどのようにしてアポトーシスを抑制するかを明らかにするために、エストラジオールにより発現量が変動する因子の探索を行った。まず始めにRNA seq解析の結果からコントロールと比較してホルモン試薬処理を行ったマウス卵巣において発現が変動する因子を選別し、それらの因子の発現が器官培養した卵巣においてエストラジオールにより変動するかどうかを調べた。その結果、ある代謝系に関与する因子のいくつかの発現が有意に変動することを突き止め、また、その代謝産物量も有意に変動することを発見した。今後は、これらの因子の基礎的な解析(タンパク質発現や局在、活性の有無等)を行うとともにこの代謝系がアポトーシスに関与するかどうかを解析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書の研究計画に沿って研究が進展している。計画内で掲げた9項目の内、7項目が完了もしくは着手済みであることから、おおむね順調に進展しているという判断である。
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究計画調書の研究計画に沿って研究を進めるとともに、当初想定していた内容とは異なる成果が得られていることからこちらの研究も精力的に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通りの支出であったが、遺伝子解析関連の試薬の購入と実験動物の購入頻度が予定よりも少なかった。次年度は、当初予定していなかった研究成果を基に実施する研究計画を予定しており、その実施に充てる予定である。
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