一次繊毛は、殆どの細胞が一本のみ保有するオルガネラであるが、不動であることから100年近く忘れられていた。近年になり、幾つかのGタンパク質共役型受容体(GPCR)が細胞膜ではなく一次繊毛膜上に局在することが報告された。一次繊毛内は細胞質と物理的に隔てられているため、GPCRの一次繊毛特異的な振る舞い(細胞内シグナル)が生じている可能性がある。本申請では、摂食に関与する神経ペプチドY(NPY)受容体に着目して研究を行った。その結果、NPY2RとNPY5Rが一次繊毛特異的に発現し、NPYに応答し一次繊毛を短縮させること。加えて、生体内においても同様の現象が生じることも突き止めた。
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