研究課題
基盤研究(C)
コレラ菌は栄養が制限された水中環境でも生存することが知られており、そのような飢餓ストレス下での環境適応を理解することは重要である。本研究は、コレラ菌における栄養制限下でのゲノムDNAおよび表現型の変化を経時的に追跡し、解析した。その結果、鞭毛関連遺伝子に選択的に突然変異が発生することと、鞭毛運動の制御がコレラ菌の長期増殖能の維持に関与することを明らかにした。
細菌学
細菌の進化における非ランダム突然変異と適応的突然変異の役割についての理解は十分ではない。本研究は、コレラ菌を貧栄養下で培養すると、鞭毛運動に関わる遺伝子に選択的に変異が発生し、それに伴う運動性の欠損が、コレラ菌の増殖能の維持に関連することを示した。世界に拡散し流行を起こすコレラ菌の水中環境における生存戦略を理解することは、その拡散を防ぐ上で重要である。本研究の成果は感染症の進化や耐性の発生メカニズムに関する新たな洞察を提供し、新しい予防策や治療法の開発に役立つ可能性がある。