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2021 年度 実施状況報告書

同一の遺伝子が異なる環境への適応を可能にするのか?:渓流沿いと蛇紋岩地を例に

研究課題

研究課題/領域番号 21K06324
研究機関東京都市大学

研究代表者

福田 達哉  東京都市大学, 理工学部, 教授 (00432815)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード環境適応
研究実績の概要

これまでに特殊環境に適応する植物の形態学的および解剖学的変化に関して局所的な地域の比較から議論を行ってきた。しかし近年、南北に長い国内において広く地理的クラインが認められ、地理的に異なる場所においてはこれまでの局所的な形態学的および解剖学的適応様式が必ずしも当てはまらない場合が指摘されている。このように地理的に異なる場所においては環境要素も地域間で異なるために、これまでの局所的な結果に一般性を求めることが難しい場合がある。そこで本研究では、これまでの高知県の西南地域で明らかとなった特殊環境適応の際のネズミモチの気孔サイズの変化に関して、その変化の一般性を明らかにするために、これまでとは地理的に異なる関東平野においてネズミモチを神奈川県平塚市および横須賀市からそれぞれ30個体ずつを用いて研究を行った。
その結果、解剖学的解析より気孔のサイズの変化が高知県の西南地域と関東平野といった地理的に異なるにもかかわらず特殊環境に適応する際は同様の変化を示すことが明らかとなった。そのために地理的クラインを考慮したとしても、特殊環境適応の際の気孔のサイズの変化はネズミモチにおいて一般性が成立すると考えられ、国内の広い地域に分布するネズミモチは乾燥ストレスに対して気孔サイズを減少させて過度な蒸散を回避することで適応することが可能であることが示された。また本研究の結果は、数ある特殊環境において乾燥ストレスが選択圧として作用する場合は同様の変化をすることを示唆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナの影響で野外調査時期が限られた結果、やや遅れた研究の進行状況となっている。

今後の研究の推進方策

昨年度の研究結果から、気孔のサイズの変化が遺伝的に固定しているのか、それとも特殊環境へ侵入することによる可塑性で生じたものなのか、といった問題に関して昨年度から環境を調節した栽培実験を開始しており、今年度はその評価を形態学的および解剖学的手法を用いて行うことで、遺伝的支配の有無を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

昨年度いくつかの野外現地調査費用として準備していたものの、コロナによりそのうちのいくつかの調査を行うことができなかったために生じた。そのため、昨年(2021年)緊急事態宣言中に実施予定であった野外調査を今年度行うことで、申請内容に従った研究を遂行していくことを計画している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Adaptative leaf morphology of Eurya japonica Thunb. (Ternstroemiaceae) in serpentine areas2022

    • 著者名/発表者名
      Shiba M, Tate T, Fukuda T
    • 雑誌名

      Journal of Plant Studies

      巻: 11 ページ: 10-18

    • DOI

      10.5539/jps.v11n1p10

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Seed germination and seedling emergence of Canavalia lineate (Thunb.) DC. (Fabaceae)2022

    • 著者名/発表者名
      Ishii C, Shiba M, Kumekawa Y, Fukuda T
    • 雑誌名

      International Journal of Biology

      巻: 14 ページ: 8-18

    • DOI

      10.5539/ijb.v14n1p8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Morphological and molecular phylogenetic analyses of Zepetanulus ishikawai (Arachnida: Opiliones: Laniatores: Epedanidae) in the southern part of the Ryukyu Archipelago2021

    • 著者名/発表者名
      Kumekawa Y, Fujimoto H, Miura O, Arakawa R, Yokoyama J, Fukuda T
    • 雑誌名

      Canadian Entomologist

      巻: 153 ページ: 800-827

    • DOI

      10.4039/tce.2021.42

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Rheophytic adaptation of Eurya japonica Thunb. (Ternstroemiaceae)2021

    • 著者名/発表者名
      Shiba M, Tate T, Fukuda T
    • 雑誌名

      International Journal of Biology

      巻: 13 ページ: 65-73

    • DOI

      10.5539/ijb.v13n2p65

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 環境適応における力学的背景:渓流沿い植物を例に2021

    • 著者名/発表者名
      柴政幸、飯島正徳、福田達哉
    • 学会等名
      日本植物学会
  • [学会発表] 海流散布種子植物ハマナタマメの北限に関する生態学的研究2021

    • 著者名/発表者名
      石井知希、柴政幸、福田達哉
    • 学会等名
      日本海岸林学会

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公開日: 2022-12-28  

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