ホウキボシ科とゴカクヒトデ科を対象に形態と分子の両面から系統分類学的研究を行った.ホウキボシ科は腕が細長い形状で浅海で優占しているのに対し,ゴカクヒトデ科は五角形の形状で深海で優占している.分子系統解析によって,これまでホウキボシ科とされてきた種の多くは,ゴカクヒトデ科であることが判明し,分類体系を大きく見直す必要があることが判明した.祖先形質復元によって,ゴカクヒトデ科の一部が深海から浅海へと分布を広げたことが推定され,浅海においてホウキボシ科と似た体形に進化したと考えられた.深海から浅海へと分布を拡大し多様化したという,多くの底生動物での仮定とは逆の方向性の進化が明らかとなってきた.
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